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「美術館に行こう。」-私の美術館体験記 応募作品のご紹介

美術館体験記 香川県・香川県立東山魁夷せとうち美術館 写真

倉敷市 三宅さん (男性)

訪問日: 2014年12月6日

瀬戸内海国立公園は80年前に日本最初の国立公園に指定された。最大の特色は、大小1000余りに及ぶ島々で形成された内海多島海景観だそうだ。
確かに、瀬戸の島々と陽の光、行き交う船までもが絵になるほど美しい。
その国立公園内を本州と四国を橋でつなぐという人々の夢を、悲願を20世紀のテクノロジーが実現させた。
高速道路・鉄道で往来できる恩恵は計り知れない。その巨大建造物をいかに国立公園の景観と調和させるか、そのための橋の色はライトグレーがふさわしい、との答申をしたのが、東山魁夷であったことを今回の美術館訪問で初めて知った。

東山魁夷せとうち美術館は、瀬戸中央自動車道が香川県側の陸地から海上に向かって伸びてゆこうとする、まさに突端の海辺に建っている。小径を通って入口に着く。(代表作の「道」に似た景観になっていることを後で知った。)
僥倖というべきか、学芸員による作品解説ツアーに飛び入り参加できた。
ミュージアムトークといって毎月第1・第3土曜日に開催されるそうで、美術館のホームページにも告知されているが、私はただ偶然にチャンスに恵まれた。
このミュージアムトークの参加者は、この日は私の他には東山作品にも詳しい女性が1名だけだった。
私はといえば、版画作品の説明を受けながら「東山魁夷さんて、版画家なんですか?」と尋ねる素人ぶりを発揮。すると学芸員さんからは、東山魁夷さんは日本画家だが、どのようにして版画が作られたかを技法面や需要面での背景を説明頂いた。
この美術館の版画にはEAという文字が付されており、これは販売用とは別に作者保存用に刷られたものだそうだ。
1枚の版画を作成するのに平均で20~25枚の版木を作るらしい。学芸員さんには作品の説明だけでなく、観客側の様々な素朴な質問に即答して頂けた。
瀬戸大橋の色、美術館への小径のことも、ミュージアムトークに参加したからこその知識になった。与謝野晶子の短歌の解説文の挿絵で小学校の教科書に載っていた「花明り」という作品も見ることができた。
せとうち美術館ネットワークの割引券で入場して、これほどに贅沢な鑑賞時間を持てるとは大感激だった。皆さんにもミュージアムトークへの参加をお勧めしたい。
展示作品を見終わり、1階に降りると瀬戸内の海と島が瀬戸大橋と調和した景色が鮮やかに目に飛び込んでくる。これも美術館設計者の仕掛けだそうだが、実に見事である。(いや、これは事前には知らないでサプライズのほうが良いかも。蛇足を書いたかもしれない。)

松山市 桧垣さん (男性)

訪問日: 2014年8月8日

瀬戸大橋が最も美しく見える美術館が東山魁夷せとうち美術館だと思います。

基本的に写生画のみでいつ来てもほっとする居心地の良い美術館です。
今回は「瀬戸内海国立公園指定80周年記念事業の一環ということで香川、愛媛、広島、岡山、兵庫の5県に加えて瀬戸内の写生画が充実している栃木の小杉放菴(こすぎほうあん)記念日光美術館からも借りてきて、瀬戸内海の風景の美しさを再認識すべく充実した珠玉のコレクションになっていると思います。
特に気に入ったのは岡山市出身の池田遙邨(いけだようそん)の三点の大作です。『鳴門』の渦潮には感激しました。日本画ならではの装飾性を感じます。
遙邨といえば山頭火の俳画的なイメージがあったのですが、これらのスケールの大きさには圧倒されました。日本は島国であり、日本人は海とともに生きてきたことを痛感させられます。
東山魁夷や平山郁夫という巨匠の作品はさすがだと思いました。
何げない一情景をこれほどまでに極めることができるんだなあと思います。フランスにクールベというドラマティックな波の絵を画いている画家がいますが東山魁夷の『波響く』はそれと全く対照的なものを感じます。一言でいえば繊細さと優美さだと思います。日本画は岩絵具を使うので表面がざらざらして角度によって光って見えるので水を描く際にすばらしい効果があると思います。
油彩の作品では藤島武二の『五剣山の日の出』海老原喜之助の『大草山』神下雄吉の『寒霞渓紅葉』が印象に残りました。山の重厚さを描くにはぬり重ねることが特徴の油彩画が優れているのかもしれません。
今回の展示では目録に取材地を入れているのがとてもいいと思います。すごく具体性があります。
地図があったらもっと親切ですが、島の名前が入っているのが数点ありました。
この美術館は小規模であまり展示スペースが広いとはいえませんが、訪れるたびに納得でき、豊かな心になれるので私の大好きな美術館です。喫茶スペースで瀬戸大橋と海を見ながら飲むコーヒーは最高で、友人との話もはずみます。きっと近々再訪すると思います。

香川県綾歌郡 玉木さん(男性)

2013年3月21日

瀬戸内国際芸術祭が沙弥島で開催されていて三つの白と香川県立東山魁夷せとうち美術館を見に行きました。たくさんの人で賑わっていて、展望台が満席みたいで上がり下がりを繰り返していました。受付にもたくさんの人がならんでいました。山のような作品を登ってみたり、海水浴場の方に行くと、お膳や汁物が売られていました。沙弥小中学校では、展示がされていて塩を使ったハンモックの作品がとても綺麗でした。標本で展示されていたピンクの珍しい貝殻を砂浜で探してみたり、椅子の作品を見たりしました。熱心に絵手紙を書いている人もたくさんいて、私も絵手紙を描いてみました。高松市内で展示もしてもらえて、みんなと一緒に展示ができたなと思いました。希少糖のお饅頭もいただいて美味しく食べました。

香川県立東山魁夷せとうち美術館では、受付の方もとても丁寧に接客してくださって恐縮しました。展示されているリトグラフもとても綺麗で可愛らしいものが多かったです。次の会期の展覧会は、横山大観の作品が展示されていて驚きました。線をどのように書いているのかなと思いじっと見ていました。とても鮮やかな絵画が当時は多いのだなといつも思いました。自然の風景をそのまま忠実に描いている気がしました。

瀬戸内国際芸術祭と香川県立東山魁夷せとうち美術館の会期が重なっていたためたくさんの方が来られていました。写真を撮影している方や何か芸術作品について討論しているようで、全国各地から美術が好きな方が来られているような気がしました。山のような作品の頂上に登って何か考察している方もいて色々と考えたり動いたりする作品もありみなさん楽しんでいました。車の出入りも激しく瀬戸大橋が完成した瀬戸内万博のころの賑わいが戻ったかのような様子でした。とても多くの人がいたので、昔はこんなに人がいてみんな楽しそうだったなと思い出しました。芸能人もきていたような気がします。また昔のような賑わいが戻ったらいいなとちょっと心に残りました。瀬戸内国際芸術祭や美術館での展示など楽しそうな企画をしている行政や民間企業の方も熱心なんだなと思いました。

兵庫県明石市 川上さん(女性)

訪問日:2013年8月15日

子どもがようやく小学生になり、少しずつ美術館を訪れることができるようになりました。
香川に帰省したとき近場で美術館を探したところ、香川に美術館、アートスポットの多いこと!
子供の頃、住んでいたときは気付かなかったのか。

なかでも 香川県立東山魁夷せとうち美術館!
私の実家は香川県坂出市、瀬戸大橋の橋脚がある島、櫃石島。
東山魁夷さんの祖父のふるさとです。魁夷さんは櫃石島の作品も残している。
なのになぜ今まで訪れることがなかったのか。

今年のお盆休みに時間ができたので、初めて主人と訪れることができ、本当に素敵な美術館でした。
もっと早く行けば良かった。

素晴らしい作品の数々。私が訪れたときは夏の特別展、東山魁夷と建築家吉村順三を開催中でした。
皇居新宮殿の絵画、「満ち来る潮」の迫力は凄かった。
岩に打ち上げる潮の音が今にも聞こえてきそうでした。
激しく恐ろしく、そして島育ちの私には懐かしさも感じられる作品でした。
この日は入館客の数も、ゆったり見られるのにちょうどよい具合で、置いてあるソファーに腰掛けて贅沢に絵画を眺めることができました。

今年は機会があって京都の美術館にいくつか訪れることができましたが、いやいや、ロケーションに関してはこちらの美術館も負けてない。
なかでもカフェから望む景色の素晴らしさ!ザ、瀬戸内海!
カフェのテーブルから見える瀬戸大橋が大迫力。
安っぽい言い方しか思い浮かびませんが、まるで一枚のアートのようです。

この日は櫃石島は見えませんでしたが、お天気がいいと見えるらしいです。
夕陽が沈む時間など、さぞ美しいだろうなぁ。と、あらためてふるさとの風景を味わうことができました。

そして今回は主人と二人だったので、子供抜きでゆっくりかまどの美味しいケーキを頂くことができ、最高でした。
この夏は瀬戸内芸術祭の島々に家族で訪れることもでき、ふるさと香川県の魅力を再発見しています。

まだまだたくさんのアートスポットがある香川。次に帰省したとき、さあどこに行こうか、楽しみにしてます。

鳥取市 伊藤さん(女性)

訪問日:2013年7月27日

自動車を持っていない私にとって、香川県立東山魁夷せとうち美術館は「行ってみたいけれどちょっと遠いところ」でした。仕事の都合で現在は鳥取市に住んでいます。以前は広島市や福山市に住んでいました。そのころは、公共の交通機関を使って香川県立東山魁夷せとうち美術館だけに出掛けて日帰りするというのは時間も費用ももったいないような気がしていましたし、近くの丸亀市猪熊弦一郎現代美術館も行こうと思うと日帰りは難しくて、香川県立東山魁夷せとうち美術館に足が向かないままになっていました。

今回は、計画を立てないまま香川県立ミュージアムや高松市美術館をめぐっているうちに、思い切って高松市に宿泊することにしました。そしてついに、香川県立東山魁夷せとうち美術館にデビューしたのです。

坂出駅からは,乗合タクシーを利用しました。当日の朝、タクシー会社に電話をして予約し、乗り場を確認しておくと安心。片道の所要時間は20分、料金は500円です。市営バスなら370円ですが1日2往復では時間に縛られます。乗合タクシーは便利で快適でした。

香川県立東山魁夷せとうち美術館は小規模な美術館です。展示作品のすべてをゆっくり見ても1時間掛かりません。その後ビデオコーナーで常時放映されている東山魁夷さんを紹介する映像を観ました。3種類の映像があって、順次繰り返して放映されています。これを全部観るには,45分くらい必要だったでしょうか。

何と言っても素晴らしいのは,館内のカフェです。大きなガラス窓の向こうに瀬戸内海が広がり、明るいグレーの瀬戸大橋が見えます。

この眺めに心がふわっと軽くなって良い気持ちです。ミルクティーを頼むと、愛らしい東山魁夷さんの絵が添えられたティー・カップに注がれてきます。このカップは,ミュージアム・ショップで購入することができます。

心地よい非日常をに身をゆだね,元気になりました。

倉敷市 毛利さん(男性)

訪問日:2012年3月16日

日本の技術の推移を誇る雄大な瀬戸大橋中央道を渡り、香川県坂出市の番の洲にある東山魁夷せとうち美術館を訪れるのが楽しみです。まず美術館の玄関に向けてのアプローチは東山魁夷作品の「道」を現わして石畳が我々を迎えてくれます

展示作品はむろん感動の連続ですが、鑑賞後のラウンジでのティータイムが至福の一時です。ワイドな窓からの眺望は瀬戸大橋と海、島々と伸びやかに心静かに迎える一時です。

皆様もぜひ体験下さい。

高松市市 桑原さん(男性)

訪問日:2011年7月13日

私は気心の知れた10数人との食事会の後に当美術館を訪れました。

敷地は海辺にあり、建物へのアプローチは建物に対し斜めの一本の白い道、魁夷出世作の「道」をイメージしたものとか。

コンパクトであるが1F及び2Fの作品を鑑賞し、再び1Fへ降りたところに全面ガラス越しにパッと瀬戸大橋を含む海が目の前に飛び込んで、最後の作品を見ているような気になりました。

展示作品は多くなく肩肘張らず気楽に訪れる事ができる美術館です。

広島市 藤井さん(男性)

訪問日:2011年9月22日

展示されている東山さんの作品も素晴らしい物でしたが、とてもきれいな美術館に感動しました。

瀬戸大橋を望む大きなガラス窓、まるでガラスがないように思える程に隅々まで磨き上げられ、台風一過の青空と瀬戸内海をより美しく見せてくれました。

職員の方々の日頃の心使いの賜物と感じました。

美術館の入り口への道に照明が埋め込まれていて、できれば暗くなってからの美術館の様子を見たいものだと思いました。

高松市 神辺さん(女性)

訪問日:不明

霧の美術館

「道」を通り美術館へ。くもりで濃霧が発生し、瀬戸大橋の橋桁も霧の中。こんな天気に初めて訪れました。玄関口に入る前に東山作品に出くわした感じです。

美術館内では東山ブルーに浸り、酔いしれ、ラウンジ・カフェでお抹茶を頂く頃には雨が降り出していました。

お年寄りがこの雨に途方に暮れていました。その時、案内員さんの「どうぞこの傘を使ってください。またのお越しの時でよろしいですよ。」という声が聞こえてまいりました。この一言で、ほっこりし自然に顔がほころび、口元は、微笑みを浮かべておりました。

とても良い一日でした。

吹田市 村岡さん(女性)

訪問日:2009年9月21日

美術館になんて行けない、と思っていました。できちゃった結婚から六年。娘は幼く、主人はア-トに興味がない。油絵を習い大型バイクでギャラリ-や美術館巡りを楽しんでいた独身時代も、主婦となった今では遠い記憶となっていました。

今回、うどんを食べに四国に渡った家族旅行で、美術館ネットワ-クのスタンプラリ-を知りました。主人がやってみようと言い出しました。グッズが目当てだったんです。一日に4つの美術館を回り、その最後がせとうち美術館でした。

足を踏み入れると「いいね」と主人がつぶやきました。娘もすごい、すごい、と喜んで眺めていました。名残惜しい気持ちで回り終えると、「もう一回、観てもいいかな」と主人が言いました。受付の人にことわってから再び鑑賞させてもらいました。

主人も娘も絵画鑑賞の楽しみに目覚めてくれた様子。瀬戸大橋のかかった輝く海を大満足で眺めてきたのでした!

高松市 工藤さん(男性)

訪問日:2009年8月16日

郷里が坂出の母ですが、車が無いために東山魁夷せとうち美術館に行けないままでした。たまたま一人でお盆の墓参りに丸亀の実家に帰ったついでに母を美術館へ車で案内しました。

県民手帳で無料で入れることも魅力ですが、何より同じ郷里におじいさんがいた東山画伯にはどの絵がという以上の親近感がある様子でした。あんまり親子で絵を見ながらおしゃべりに夢中になったり、母が絵を触るような素振りになったりしたせいでしょうか。

係員の女性から注意されてしまいました。でも母は嬉々として美術館に来れたこと。本物の絵を鑑賞できたことを喜んでいました。

いつもは猪熊美術館に一緒に行っては抽象画を一生懸命理解しようとする母ですが、終戦時に小学生でろくに文化的な刺激を受ける機会のなかった文学少女にとって幸せな一時なのかもしれません。

わずかでも親孝行ができたかと私も感慨無量でした。素敵な絵とその素晴らしい環境に感謝します。

高知県吾川郡 馬渕さん(女性)

訪問日:2009年5月3日

高知に引っ越してもう十年。連休ということもあり、昨日数年ぶりに瀬戸大橋公園に行ってきました。

ここは、二十数年前瀬戸大橋開通で大にぎわいをしていたところ。今は、親子連れが休日を過ごす、緑の多い公園になっていました。その光景に懐かしさすら感じ、思わず涙が出そうになりました。

その公園の一部に、今回新しく美術館ができていました。

瀬戸内海を背景にして建つその建物は、深緑の石張りの低く四角い建物で、まるで緑の芝生に浮かぶタンカ-のようでした。

美術館というものは、その建物自体が美術作品の一部のように感じられることがあります。

東山魁夷美術館は、その建物とともに、静かで穏やかな作品を鑑賞できる場所です。

作品を見終えて階段を下りると、きっとその光景の美しさに誰もがびっくりするはずです。