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情報誌「瀬戸マーレ」

アートのすすめvol.10 巨匠から若手作家まで刺激いっぱいのコレクション 近現代アートをもっと身近に、気軽に楽しもう

2010年に開館20周年を迎えた徳島県立近代美術館。近代や現代の美術にスポットを当て、わかりやすく紹介した展示や解説、ワークショップは大人から子どもまで人気が高く、リピーターがたくさんいます。

緑豊かな森から多彩な文化を発信

近代美術館や博物館などが入る複合棟
(写真上)近代美術館や博物館などが入る複合棟。中は明るく広々とした空間が広がる(写真右)高台からの眺めは絶景。園瀬川から眉山、徳島市内、遠くは紀伊水道を望める

徳島市の南、園瀬川を見下ろす緑豊かな丘陵地に広がる徳島県文化の森総合公園。ここに徳島県立近代美術館があります。約40ヘクタールの広大な敷地には、同館をはじめ、博物館、21世紀館、鳥居龍蔵記念博物館があり、4施設が同じ建物内に入っています。隣接して図書館や文書館もあり、ここに来れば関心に沿ったそれぞれの楽しみを見つけられます。

そのなかで徳島県立近代美術館は、近現代の美術に気軽に触れられる魅力ある施設です。バラエティに富んだ特別展はもちろんのこと、所蔵作品展のすばらしさには驚かされ、何度でも足を運びたくなります。そのコレクションは美術品だけで約4,500点、二次資料を含めると8,500点を超え、展示替えのたびに新鮮な感動をもたらしてくれます。幅広い視点から工夫されたワークショップも開催され、美術や作家により親しめるのが人気の秘密です。

高台からの眺めは絶景

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〝人間〟や〝徳島ゆかり〟など身近なテーマでアプローチ

趣向を凝らした所蔵作品展は毎回魅力に満ちあふれている
趣向を凝らした所蔵作品展は毎回魅力に満ちあふれている。靉嘔を特集した展示では、人間像をはじめ多様な事物を虹のスペクトル色彩で表現した美に大きな反響があった

(写真左)アントニー・ゴームリーの「天使の器II」1989年(写真右)「The Little Pilgrims(Night Walking)」1999年
(写真左)展示すると誰もがその大きさに驚くアントニー・ゴームリーの「天使の器II」1989年。横幅が8m58cmもある
(写真右)魅力的な人間像を表現する奈良美智にいち早く注目。写真は「The Little Pilgrims(Night Walking)」1999年

コレクションの柱となっているのは、「20世紀の人間像」「現代版画」「徳島ゆかりの美術」の3つ。

「20世紀の人間像」では、キュビズム(立体主義)といった、少しわかりにくい表現方法が現れた20世紀の美術を「人」をテーマにアプローチ。

パブロ・ピカソ「赤い枕で眠る女」や、奈良美智「UNTITLED(BROKEN TREASURE)」、パウル・クレーやフェルナン・レジェなどが描く人間像を見ていると、「どうしてこんなふうに人間を表現したのだろう」と作者の見方に思いをはせ、作品にぐっと近づくことができます。

「現代版画」では、横尾忠則、池田満寿夫、靉嘔、マルク・シャガールなど、近現代の代表的な作家を網羅。多面的な版画の魅力を楽しめます。

また、徳島は、日本の水彩画の歴史に足跡を残した三宅克己や、洋画家・伊原宇三郎、日本画家・広島晃甫など、日本の近代美術史で重要な役割を果たした作家を多く輩出しています。「徳島ゆかりの美術」では、そうした徳島出身や徳島で活躍した作家の豊かな表現を楽しめます。

気になる作品や作家があれば、近代美術館の受付に申し込めば、図録や資料をその場で閲覧することができます。

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自然と美術の融合から生まれる贅沢な時間

屋外展示場ではフェルナンド・ボテロの《アダムとイブ》1981年をはじめ、開放的な気分で彫刻に親しめる
屋外展示場ではフェルナンド・ボテロの「アダムとイブ」1981年をはじめ、開放的な気分で彫刻に親しめる

展示室で作品を堪能した後は、彫刻が並ぶ屋外展示場へも足を伸ばしてみてください。フェルナンド・ボテロの「アダムとイヴ」は子どもに大人気で、丸々と太ったユーモラスな姿に思わず笑みがこぼれます。

眺望もアートのひとつ。壁一面のガラス窓からは緑と光のシャワーが降り注ぎ、開放感に満たされます。近代美術館と博物館の展示室の間にはカスケードと呼ばれる人工滝が流れ、滝沿いの道を登ると眼下に徳島市の町並みと滝が織り成す絶景を眺められます。

建物の周囲には遊歩道が設けられていますから、行き帰りに散策するのも楽しみのひとつです。野外彫刻が点在する「彫刻の小径」、子ども用遊具が揃った芝生広場などがあり、緑の中で深呼吸しながら贅沢な時間を過ごせます。

取材/せとうち美術館ネットワークアドバイザー 山木朝彦

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イベント情報

■特別展
「フリースペース チャレンジとくしま芸術祭2012」

期間/2012年1月17日(火)~22日(日)
公募で集まった徳島出身・在住の人々による表現活動を発表。美術、写真、工芸から、音楽、ダンス、朗読まで、未来へ羽ばたくアーティストを発見できる。

■所蔵作品展
「徳島のコレクション2011-Ⅲ」

期間/2012年1月29日(日)まで
徳島県出身で北海道小樽市を拠点に活動した版画家・一原有徳の没後1周忌の遺作展。

「徳島のコレクション2012-Ⅰ」

期間/2012年2月4日(土)~4月8日(日)
1950年代から60年代の前衛美術を代表する作家である山下菊二。寄贈されたアトリエにあった作品や遺品などを展示。

DATA

住所/徳島市八万町向寺山 文化の森総合公園内
開館時間/9:30~17:00
休館日/月曜日 (祝日・振替休日の場合はその翌日)、
年末年始
料金/一般200円、高・大学生100円、小・中学生50円
※特別展は内容によって料金が異なります。
アクセス/鳴門ICから国道11号および55号経由約40分、
徳島ICから国道11号および55号経由約30分
HP/http://www.art.tokushima-ec.ed.jp/

徳島県立近代美術館アクセスマップ

せとうち美術館ネットワークとは

瀬戸内の美術館が相互にネットワークを形成して、地域全体としてのアートの魅力を発信する組織が「せとうち美術館ネットワーク」です。ネットワークでは「子どものアート感想文」募集などを通じて、教育普及活動にも力を尽くしています。

せとうち美術館ネットワークの詳細については、ホームページにてご紹介しています。
http://www.jb-honshi.co.jp/museum/

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