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心ときめく作品に出会える、瀬戸内の美術館めぐり

川底に埋もれた中世の町を体感! ふくやま草戸千軒ミュージアム(広島県立歴史博物館)

復元された「草戸千軒」は、鎌倉時代末の初夏の夕暮れ時を設定。漆職人の家はほこりを防ぐために土壁で、下駄づくりの職人の家は板壁になっているなど工夫が見られる。

福山市を流れる芦田川の河口付近で栄えた中世の集落「草戸千軒」。川底に埋もれてしまったその遺跡を発掘調査し、出土資料や複製品を紹介したふくやま草戸千軒ミュージアムは、瀬戸内の歴史文化への興味を駆り立てる場所です。草戸千軒の職人の町が実物大で復元され、船着場や鍛冶屋、塗師屋、市場などが並び、住居、仕事道具、生活道具、夕食などから当時の暮らしぶりがうかがえます。すり鉢や鍬など現在とほとんど変わらない道具も多く、昔の人の知恵に感心します。
このミュージアムが素晴らしいのは、草戸千軒の歴史的な位置づけがわかるように、最初に通史展示室を通って、原始・古代から現代にいたるまでの瀬戸内の歴史や文化を知ることができること。水上交通の大動脈だった瀬戸内海の交易・交通の資料や、民衆の生活や文化にスポットを当てて紹介しているのも興味深く、どの時代に何があったかがわかります。
復元された草戸千軒の町は写真撮影ができ、映画のセットのような日本の原風景にのんびり浸れます。

DATA

住所/広島県福山市西町2-4-1
TEL/084-931-2513
開館時間/9:00~17:00(入館は16:30まで)
休館日/月曜日(祝休日の場合は翌平日)、6/12~15、12/28~1/1、1/4、2/5~8 ※1/2・3と5/1は開館
料金/一般290円、大学生210円、高校生以下は無料

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イベント情報

■初公開!
世界を驚かせた日本人の地図づくり
-行基図から伊能図まで-

2018.7.19thu~9.24mon
新発見の伊能忠敬の日本地図など、幕府が製作した日本地図の変遷と、幕府が諸藩に命じた国絵図作りが社会にもたらした影響などについてご紹介します。

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美術品に、堂塔に、大理石も。境内全体が博物館! 耕三寺博物館

孝養門。日光東照宮陽明門の実測図に基づいて作られている。装飾や彫刻が原作よりも豪華で技術力の高さに圧倒される。

元実業家の耕三寺耕三和上が母親の菩提寺として建立した耕三寺。その付属博物館には、耕三寺耕三和上が収集したコレクションが仏教美術を中心に展示されています。有名な仏師・快慶が造った「宝冠阿弥陀如来坐像」など多くの重要文化財、重要美術品があり、細かい部分まで鑑賞できます。例えば「阿弥陀如来立像」。横から見ると少し前傾しており、人々を救いに行こうとする姿を表現しているそうです。
コレクションのみごたえもさることながら、境内には日本の代表的な仏教建築の様式や手法を取り入れた極彩色の堂塔があり必見です。日光東照宮陽明門を手本にした孝養門は、華麗で緻密な装飾が見事。本堂は京都宇治平等院鳳凰堂が原型で、より華やかな印象です。母の老後を慰めるために建てた潮聲閣は、書院造を主とした日本住宅と洋館が複合され、贅を尽くした意匠にため息が出ます。
最後はぜひ未来心の丘へ。彫刻家・ 杭谷一東が手がけた白い大理石の庭園はまばゆく輝く別世界。頂上にはパワーが集まっているといい、写真撮影に絶好のスポットです。

DATA

住所/広島県尾道市瀬戸田町瀬戸田553-2
TEL/0845-27-0800
開館時間/9:00~17:00、潮聲閣のみ10:00~16:00
休館日/年中無休
料金/大人1,400円、大学生1,000円、高校生800円、シニア1,200円、中・小学生以下は無料 ※潮聲閣は現地で別途入館料(大人・子ども200円)が必要

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イベント情報

■第73回 館蔵品展 近世屏風

2018.3.17sat~5.27sun
洛中洛外図屏風や源平合戦図屏風など、館蔵する近世屏風を紹介する展示です。金箔をふんだんに使った豪壮な画面とその細部にまで描き込まれた緻密な絵画が織り成す美の世界をお楽しみください。

 

せとうち美術館ネットワークとは

瀬戸内の美術館が相互にネットワークを形成して、地域全体としてのアートの魅力を発信する組織が「せとうち美術館ネットワーク」です。今回紹介した2つの美術館を含め、魅力ある68の美術館・博物館が参加しています。ネットワークでは「子どものアート感想文」募集などを通じて、教育普及活動にも力を尽くしています。
HP/http://www.jb-honshi.co.jp/museum/

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