- 復元された「草戸千軒」は、鎌倉時代末の初夏の夕暮れ時を設定。漆職人の家はほこりを防ぐために土壁で、下駄づくりの職人の家は板壁になっているなど工夫が見られる。
福山市を流れる芦田川の河口付近で栄えた中世の集落「草戸千軒」。川底に埋もれてしまったその遺跡を発掘調査し、出土資料や複製品を紹介したふくやま草戸千軒ミュージアムは、瀬戸内の歴史文化への興味を駆り立てる場所です。草戸千軒の職人の町が実物大で復元され、船着場や鍛冶屋、塗師屋、市場などが並び、住居、仕事道具、生活道具、夕食などから当時の暮らしぶりがうかがえます。すり鉢や鍬など現在とほとんど変わらない道具も多く、昔の人の知恵に感心します。
このミュージアムが素晴らしいのは、草戸千軒の歴史的な位置づけがわかるように、最初に通史展示室を通って、原始・古代から現代にいたるまでの瀬戸内の歴史や文化を知ることができること。水上交通の大動脈だった瀬戸内海の交易・交通の資料や、民衆の生活や文化にスポットを当てて紹介しているのも興味深く、どの時代に何があったかがわかります。
復元された草戸千軒の町は写真撮影ができ、映画のセットのような日本の原風景にのんびり浸れます。