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アートトラベラー

兵庫県 姫路市立美術館 斬新なコラボレーションが新たな姫路の魅力に

赤レンガの建物は明治時代に陸軍の兵器庫・被服庫としてつくられた。背後に姫路城が優美な姿を見せる。

2023年に開館40周年を迎える姫路市立美術館。世界文化遺産・姫路城の特別史跡地内にあり、赤レンガが美しい美術館です。

現在、美術館が中心となり、姫路の二大文化資源の姫路城と書寫山(しょしゃざん)圓教寺(えんぎょうじ)をつなぎ、新たな姫路の魅力を発信する「オールひめじ・アーツ&ライフ・プロジェクト」が開催中です。2021年から4年間にわたり、5人のアーティストを招へい。これまで現代美術家の日比野克彦氏が圓教寺の摩尼殿を朝顔で彩ったり、写真家・現代美術作家の杉本博司氏が、圓教寺・常行堂の阿弥陀如来坐像のまわりにガラスの五輪塔を配置したり、斬新なコラボレーションが注目を集めました。今年は7月からチームラボによる趣向をこらしたデジタルアートがスタート。姫路を巡る楽しみが増えます。
  
プロジェクト期間中は、美術館の前庭でも、アーティスト、中谷芙二子氏による《霧の彫刻》を開催。人工的に発生させた霧がその日の温度や湿度、風によって形を変え、揺らめき、幻想的な光景に包まれます。霧の発生は、開館日の10時から17時までの毎時0分から。霧の中に光の線が見える朝、ライトに霧が浮かぶ夕暮れ時は見逃せません。

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常設展示は珠玉の名品がいっぱい

館内の展示も充実しています。所蔵作品は、地元出身で江戸琳派を開いた酒井抱一をはじめ、近世、近代、現代も含めた日本画、洋画、刀剣、東山焼など約五千点。

特に姫路市在住の國富奎三氏から寄贈されたコレクションは約30点が常設展示され、近代フランス美術の流れをいつでも体感できます。3年ほど前には展示室が改修され、その際に行われた作品調査の結果は興味深いものばかりです。クロード・モネの有名な《印象、日の出》という作品がありますが、姫路市立美術館にある《ル・プティ=ジュヌヴィリエにて、日の入り》はその対になる作品。修復作業によってモネが見た夕日の空の色が戻り、感動します。ジョルジュ・ルオーの《町外れ》には裏面に《老女》が描かれ、それまで非公開とされていたのを見ることができるようになりました。さらにアンリ・マティスの《ニース郊外の風景》が、所在不明とされていた松方コレクションの一つであることが判明。作品の素晴らしさはもちろん、隠れたエピソードに引きつけられます。

DATA

姫路市立美術館

住所/兵庫県姫路市本町68-25
TEL/079-222-2288
開館時間/10:00~17:00(入館は16:30まで)
休館日/月曜日(祝日・休日の場合を除く)、メンテナンスのため3/6〜3/31まで休館予定。前庭は開園予定(月曜日は除く)。
料金/常設展 一般210円、高校生・大学生150円、小学生・中学生100円※企画展は別料金になります。
駐車場/なし

MAP

展覧会情報

「オールひめじ・アーツ&ライフ・プロジェクト」

2024年度まで
現代美術家・日比野克彦氏、現代美術作家・杉本博司氏、アート集団・チームラボ、建築家・隈研吾氏、霧の芸術家・中谷芙二子氏が、姫路市立美術館、姫路城、書寫山圓教寺を拠点にそれぞれのプロジェクトを開催します。

「西洋美術に見る心の中の世界」

2023年1月21日(土)~3月5日(日)
精神世界や内面世界を描いた象徴派、現実の色や形をデフォルメして心の中を表現した表現主義など、西洋近代の象徴主義からシュルレアリスムにいたる系譜を見ることができます。

「第76回 姫路市美術展」

2023年2月18日(土)~3月5日(日)
兵庫県内で最も古い公募展。応募作品から入選・入賞作品が公開されます。

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