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せとうち島めぐり

淡路島

兵庫県

歴史をつなぐ架け橋を越えて、
テロワール島旅を

弥生時代に鉄器作りの村だった五斗長垣内遺跡。

日本最古の歴史書とされる『古事記』の冒頭に描かれた「国生み神話」で、淡路島は神々が日本で最初に産んだ〝始まりの島〟として登場します。それほど、古来日本の中で一目置かれていた島だったと考えられています。

古代より淡路島は、大陸や朝鮮半島から瀬戸内海を通って畿内へ入る際の玄関口として、また最後の砦として重要な位置にありました。さらに、鳴門のうず潮で知られるように島周辺の海域は航海の難所で、いにしえから航海術に優れた〝海の民(後に海人と呼ばれる)〟が活躍していた島なのです。

海の民によって当時の先端技術や文物がもたらされ、朝鮮製と考えられる鉄素材で鉄器をつくっていた村の五斗長垣内遺跡や海の信仰を伺わせる松帆銅鐸(南あわじ市滝川記念美術館玉青館所蔵)など、歴史ロマンを感じるスポットが多く点在します。

また、朝廷や皇室に頻繁に海産物を中心とした御食料を貢ぐほど、食の豊かな御食国でした。食は現在も淡路島観光の最大の魅力で、新鮮な海の幸や山の幸を淡路島ブランドとして開発し、島ならではのメニューが多く誕生しました。

明石海峡大橋と大鳴門橋が開通したことで、主に京阪神から多くの人たちが気軽に渡島できるようになりました。島を縦断する高速道路をうまく使えば、いろんなところに30分もあれば行くことができ、島中で飲食店や観光地が増えていったそうです。

「美味しい食」を求めて渡島する人たちが〝御食国淡路〟の歴史や人々の努力や創意工夫を知れば、島の奥深さに驚くはず。淡路島観光協会は、「島の歴史を知ってもらうことや伝統、産業を継承していくためのキーワードは食です」と話し、今後は食を提供するだけでなく、島のバックストーリーを紐解いて解説できるようなガイドの育成にも力を入れていくようです。

テロワールな島旅においても、まさしく〝始まりの島〟となりそうです。

島へのアクセスは…神戸側から明石海峡大橋、徳島県側から大鳴門橋を通って車やバスで。兵庫県明石市の明石港から船も運行。

トリセツ

西海岸
近年、若者やファミリーに人気のある「西海岸」は、おしゃれな飲食店やテーマパークなどの観光地が賑わいをみせている。淡路ICを出発して北部から西海岸に出て、中部の津名一宮ICまでをめぐるルートが王道。西海岸は夕日鑑賞にも最適。
島グルメ
淡路島牛丼を皮切りに、2000年台半ばから島の食材を使ったグルメが多く開発されてきた。地産地消をモットーにして、「御食国」の誇りを感じる。島スイーツも人気だ。
おのころ島神社
日本遺産「『国生みの島・淡路』〜古代国家を支えた海人の営み〜」に認定されている歴史・神話スポットが島内に数多くある。イザナギノミコトとイザナミノミコトが国生みをした舞台とされるおのころ島神社のその一つ。縁結びの御利益があると言われる。
小林 希さん

取材・写真・文 小林 希さん

旅作家・元編集者。著書に『週末島旅』(幻冬舎)や『週末海外』『大人のアクティビティ!』(ワニブックス)など。2014年に広島(香川県)で島の有志と『島プロジェクト』を立ち上げ「ゲストハウスひるねこ」をオープン。2019年に(一社)日本旅客船協会の船旅アンバサダーに就任。産経新聞などで連載中。

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