ホーム > 瀬戸マーレ vol.26 > 恵峰さんと巡ろう 四国八十八ヶ所霊場

遍路のこころを知る、初めての宿坊体験

今回は、お参りを今治市郊外の三ヶ寺にとどめて、 一日ゆっくりと巡り、宿坊のある58番仙遊寺で泊まります。
宿坊では普段の生活と違った体験ができ、ご住職やお寺のスタッフさん、 同宿のお遍路さんたちとの出会いもあるでしょう。
四国遍路を実感できる旅になることと思います。

第五十八番札所 仙遊寺

天智天皇の勅願所として建立。寺で修行していた阿坊仙人という僧がある日、雲と遊ぶかのように忽然と姿を消してしまったという伝説があり、寺名はそのことに由来しています。のちに、弘法大師がここで修法し、荒廃していた寺を再興。そのとき人々を救済するために掘ったと伝わる「お加持の井戸」は旧参道にあり、今も清水が湧き出ています。
寺は標高300mの山上にあり、今治市街からしまなみ海道、瀬戸内海の島々までも眺望することができます。
【本尊:千手観世音菩薩】

 
 

精進料理をいただき、本堂で勤行に参加

17:00 宿に到着

仙遊寺宿坊(創心舎)の利用法
予約/0898-55-2141(受付8:00~21:00)、宿泊料/一泊2食付き、1人6,000円(税込)、駐車場/普通車400円、マイクロバス1,000円、大型車2,000円

天然温泉

四国霊場の宿坊の中でも数少ない天然温泉で、浴室は広く快適。温泉の効能は、神経痛・筋肉痛・関節炎・五十肩など。歩き遍路の疲れも癒される。

18:00 夕食

地元の野菜を使った精進料理は、彩り豊かで美味しい。ご飯は玄米、お寺の農園で採れた無農薬米。

21:00 就寝

翌日にそなえて早めに就寝。
写真/今治市街の夜景

6:00 朝のお勤め・法話

初めての宿坊体験で緊張していた人も、ご住職の法話に心がなごむ。

7:00 朝食

朝はおかゆ。

第五十六番札所 泰山寺

弘法大師が、川の氾濫に悩んでいた村人のために堤防を築き、土砂加持の秘法を修法。その満願の日に延命地蔵菩薩から治水祈願の成就を告げられた大師は、自ら地蔵菩薩像を彫り本尊として祀りました。これが泰山寺の始まりです。
周囲の田園風景を一望できる境内に、大師お手植えの「不忘の松」や六道輪廻の絆を断つために回すという「地蔵車」などがあります。
【本尊:地蔵菩薩 伝弘法大師作】

コーヒーの店・阿奈波

泰山寺のすぐ裏にある奥之院「龍泉寺」は、本堂正面のコテ絵(左官職人が漆喰を塗るコテで描いた、ご本尊十一面観音菩薩の絵)が有名。寺のすぐ横に、お堂を守る庵主さんが開いている「コーヒーの店・阿奈波(あなば)」があります。「店」と言っても実際はお接待所で、お参りの人達に飲み物などを振舞っています。(お店は不定休)) 写真/コーヒーをいただきながら、庵主さんと話がはずむ。温かい心づかいに感謝。

第五十七番札所 栄福寺

海上安全を祈願して、弘法大師が府頭山山頂で護摩法を修法したところ、海から光輝く阿弥陀如来像が現出。大師はその尊像を山頂に祀り、お堂を建立しました。現在の大師堂のまわりには十二支の彫刻が施され、竹の中から顔を出す虎の姿などを見ることができます。言い伝えによると、羊は見えない場所に「隠し彫り」をされているという伝説が残る。
寺には江戸中期(1800年)の納経帳が現存しており、そこにも「栄福寺」の名が残る。
【本尊:阿弥陀如来】

本堂、一寸法師の彫刻
箱車/昭和の初め、足の不自由な少年がこの箱車で四国巡拝中に当寺の本堂で転倒。そのとき、動かないはずの足が治癒していたことから、ご利益に感謝して箱車をここに奉納したという。
MAP

知っておきたいお遍路の豆知識

遍路での宿泊先は「遍路宿」と呼ばれる民宿や旅館、ビジネスホテル、地元の方の善意でご自宅に泊めていただく「善根宿」などがありますが、お寺の非日常的な雰囲気に浸ることができる「宿坊」がおすすめです。
人気の宿坊は、春や秋のシーズンにはすぐ満室になりますので、早目に予約をしておいたほうが良いでしょう。

●宿についたら

靴を脱ぐ前に、お大師様の足である金剛杖の先を洗いましょう。玄関先に水を張ったバケツとタオルが用意されています。

●部屋に入ったら

金剛杖を床の間か部屋の上座に置きます。お風呂は基本的に到着順で。

●食事

朝夕の食事は宿泊者全員、食堂でいただきます。お遍路さん同士の情報交換の場でもあります。食事の前には「食事作法」を行い、生かされていることへの感謝を唱えましょう。
一適の水にも天地の恵みを感じ、一粒の米にも万民の労苦を思い、ありがたく頂きます

●朝勤行

宿坊に宿泊したらぜひ参加しましょう。
普段は入ることができない本堂で、ご本尊様に会えるかもしれません。
ご住職の法話も楽しみの一つです。

栄福寺現住職の白川密成さんが書いた同名のエッセーが映画化(主演、伊藤淳史)。原作は、24歳のときに突然、先代住職の跡を継ぐことになり、寺の年中行事や葬儀、檀家との付き合いなど初めての経験に試行錯誤する中で、若い住職が感じた戸惑いや悩み、使命感などを率直につづったもの。映画のロケは今治市で行われ、町の人たちや実際の檀家の人たちがエキストラで出演した。

10月24日(土)より、全国ロードショー
10月17日(土)、四国エリア先行ロードショー
配給:ファントム・フィルム
(C)2015映画「ボクは坊さん。」製作委員会

福田 恵峰(けいほう)さん

福田 恵峰(けいほう)さん

神戸市在住。会社勤めをしながら週末だけの札所めぐりを続けて、現在までに20回以上巡拝。そのほとんどが歩き遍路である。歩くたびに新しい出会いがあり、新しい自分を発見すると言う。四国八十八ヶ所霊場会公認先達。NPO法人遍路とおもてなしのネットワーク理事・女性お遍路相談員。www.omotenashi88.net

〈公認先達〉四国八十八ヶ所霊場巡拝を重ね、弘法大師の教えに帰依し、新しく巡拝する人たちにお遍路の心得などを指導し、手本となることができると認められた人。四国八十八ヶ所霊場会が審査、認定している。

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