ホーム > 瀬戸マーレ vol.37 > 恵峰さんと巡ろう 四国八十八ヶ所霊場

伊予最後の札所へ、早春の四国路を往く。

讃岐国の23ケ寺は、煩悩を消して悟りの境地に達する「涅槃の道場」です。
県境をまたぐ雲辺寺山の山頂にある雲辺寺は、住所は徳島県ですが、ルート上は讃岐一番目の札所。
標高911mの高さにあり、歩き遍路では難所ですが絶景を望めます。
老木が茂る中で一服の涼を取り、続く大興寺を目指しましょう。

第六十六番札所 巨鼇山 雲辺寺

弘法大師が16歳の頃に善通寺建立に用いる建材を求めて山を登り、深遠な霊山にひかれて一夜にして堂宇を建立。その後も2度入山し、3度目に本尊の千手観音を刻んだ。霊場は僧侶たちの学問の場所となり「四国高野」として栄えた。鎌倉時代には関所の役割も兼ね備えている。戦国時代に土佐の長宗我部元親が四国制覇の野望を住職にいさめられた話はよく知られている。
【本尊】千手観世音菩薩

本堂へ向かう階段は厄坂。女性は左側、男性は右側を上って厄払いを。帰りは真ん中のスロープを通ろう。
釈迦の弟子である羅漢さん500体が等身大で参道に並ぶ。喜怒哀楽さまざまな表情で、自分や知り合いに似た人がいるかも。
なすの形をした腰掛けで願掛け。
なすがモチーフの絵馬。なすの花は無駄なく実を結ぶことや「成す」にかけている。
DATA 雲辺寺ロープウェイ

運賃/大人往復2,060円(片道1,200円)、中・高校生往復1,500円(片道900円)、小学生往復1,000円(片道600円)
運転時間/20分間隔で運行。[3~11月]7:20~17:00・[12~2月]8:00~17:00
所要時間/約7分
定休日/年中無休

香川県側から高低差657mを一気に上る。気温差が大きく、夏は涼しい。

第六十七番札所 小松尾山 大興寺

熊野三所権現鎮護のために東大寺末寺として建立。後に嵯峨聖帝の勅願により、弘法大師が再建した。現在は真言宗だが、かつては天台と真言の二大宗派が共存する珍しい来歴を持つ。本堂に向かって左側が弘法大師堂、右側に天台大師堂が並ぶ。本尊脇侍は不動明王と毘沙門天で、不動明王は天台様式である。地元では「小松尾寺さん」の名で親しまれている。
【本尊】薬師如来

長い石段を登りきった正面に本堂がある。現在の本堂は寛保元年(1741)に建立されたとされている。
仁王門の金剛力士立像は四国霊場最大で、仏師として名高い運慶の作と伝えられている。右側の像の顔に違和感があるが、頭部だけ江戸時代にすげかえられたもの。金剛力士像の口元は、物事の始まりと終わりを表わす「阿吽(あうん)」の形をしている。
のどかな田園風景の中に置かれた標石。指で次の札所の方向が示されているのは、昔は文字が読めない人が多かったから。
参道右側の大木は、弘法大師が植えたとされるカヤとクスノキ。

豆知識

賓頭廬尊者(びんずるそんじゃ)

お釈迦様の弟子である十六羅漢の筆頭で、親しみを込めて「びんずるさん」と呼ばれている。病気を治す力があるとされ、撫でるとその部位の病気が治るという信仰があり「なでぼとけ」とも言われている。

福田 恵峰(けいほう)さん

福田 恵峰(けいほう)さん

神戸市在住。仕事を持ちながら休日だけの札所めぐりを続けて、現在までに20回以上巡拝。そのほとんどが歩き遍路である。歩くたびに新しい出会いがあり、新しい自分を発見すると言う。四国八十八ヶ所霊場会公認先達。NPO法人遍路とおもてなしのネットワーク理事・女性お遍路相談員。www.omotenashi88.net

〈公認先達〉四国八十八ヶ所霊場巡拝を重ね、弘法大師の教えに帰依し、新しく巡拝する人たちにお遍路の心得などを指導し、手本となることができると認められた人。四国八十八ヶ所霊場会が審査、認定している。

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