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恵峰さんと巡ろう 四国おへんろ

四国は行く先々に八十八ヶ所霊場の札所があります。旅のついでに足を伸ばしませんか。
参拝しながら歴史や由来を知り、建築、仏像などの美にふれ、心安らぐ充実した時間を過ごせます。

山岳仏教の特徴を残す深山にある根香寺

第82番札所 青峰山 根香寺(ねごろじ)
五大堂の五大明王像。中央は不動明王で、鎌倉時代に元寇調伏祈願で造られたもの。両脇の四明王は松平頼重公が造らせて拝んでいた。

高松市から坂出市にかけて五つの峰が連なる五色台。そのひとつ、青峰山の中腹に根香寺があります。仁王門をくぐったあとに一度石段を下りて参道を歩き、また本堂へ長い石段を上っていく不思議なつくりで、石段の両脇はカエデに包まれ、紅葉は格別の美しさです。

根香寺は、五つの峰に金剛界曼荼羅の五智如来を感じた弘法大師が、密教修行の地として花蔵院を建立したことに始まります。その後、弘法大師の甥の智証大師が訪れ、霊木で千手観音像を刻み、本尊として千手院を開きました。霊木の根元がいい香りを放っていたことから、花蔵院、千手院を総称して根香寺と名付けられたと言われています。兵火で多くが焼失し、現在ある本堂など大半は、江戸時代に初代高松藩主・松平頼重公によって再興されたもの。ご本尊の千手観音像は秘仏で33年に1度のご開帳ですが、五大堂では弘法大師が五大明王をまつったことに由来する五大明王像を拝めます。

「根香寺は山岳仏教と結びつき、かつて大護摩祈祷も盛んに行われていたんですよ」と恵峰さん。深山幽谷の佇まいに、山を信仰し、修行した修験道場の趣を感じます。

松平頼重公によって再建された本堂。本尊の千手観音像は拝めないが、桜材の一本造りで国の重要文化財に指定されている。
根香寺は紅葉の名所として知られ、山全体が赤く染まって見えるほど美しい。11月下旬頃が見頃となっている。

札所のみかた

伝説の牛鬼が駐車場に現れる!

400年以上前、山に住む恐ろしい牛鬼が人々を困らせていました。そこで村人に依頼された弓の名人・山田蔵人高清が根香寺の千手観音に願をかけ、見事退治。その角を奉納し、弔ったといいます。

創建を見守った白猴欅(はっこうけやき)

智証大師が青峰山に上ってきたとき、この欅の下に山王権現という山の神様が現れ、その後に白い猿が下りてきてお寺を造るのを見守ったといいます。樹齢約1600年。昭和50年頃に枯れ、屋根をつけて保存しています。

山岳修行の開祖、役の行者像

山を崇拝する山岳信仰と密教が結びつき、仏道の修行の場として人里離れた山の中にお寺が建てられました。役の行者は山岳信仰である修験道の開祖。根香寺では役の行者像の前の広場で大護摩祈祷が行われていました。

3万体の観音様がまつられた回廊

本堂を囲むようにコの字型の回廊「万体観音堂」があり、お遍路でお参りした人や信者さんが願い事を書いた3万体あまりの小さな観音様が安置されています。回廊を歩くと、荘厳な雰囲気です。

第82番札所 青峰山 根香寺

[住所]香川県高松市中山町1506
[宗派]天台宗 [本尊]千手観世音菩薩
[開基]弘法大師、智証大師
[創建]弘仁年間(810~824)
[真言]おん ばざらたらま きりく そわか

福田 恵峰(けいほう)さん

福田 恵峰(けいほう)さん

神戸市在住。仕事を持ちながら休日だけの札所めぐりを続けて、現在までに20回以上巡拝。そのほとんどが歩き遍路である。歩くたびに新しい出会いがあり、新しい自分を発見すると言う。四国八十八ヶ所霊場会公認大先達。NPO法人遍路とおもてなしのネットワーク理事・女性お遍路相談員。www.omotenashi88.net

〈公認先達〉四国八十八ヶ所霊場巡拝を重ね、弘法大師の教えに帰依し、新しく巡拝する人たちにお遍路の心得などを指導し、手本となることができると認められた人。四国八十八ヶ所霊場会が審査、認定している。

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