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情報誌「瀬戸マーレ」

地元通と歩く瀬戸内 【瀬戸大橋エリア】高知の鰹の塩タタキ

高知で味わう鰹のタタキ 秋は脂の乗った「戻り鰹」を食す

秋の戻り鰹は脂の乗りが良いとされ、極上の旨みを味わえます。
鰹のタタキで有名な高知で、そのルーツと、おいしい食べ方を探りました。

黒潮に乗って南下
塩タタキに注目が

四国で最も面積が広く、雄大な自然にあふれた南国・高知。黒潮の流れに乗ってやってくる、海の幸も豊富です。特に有名なのが鰹。太平洋に多い鰹は、19~23度の暖かい海を好み、黒潮に沿って春は北上、秋には南下します。この南下する鰹は「戻り鰹」と呼ばれ、秋の味覚として好まれています。

「戻り鰹」は、低い海水温度の中を生息する影響で、しっかりと脂が乗っているのが特徴です。中でも特にモチっとした身のものを「とろ鰹」と呼ぶことも。

鰹のタタキは一般的に二杯酢などのタレでいただきますが、塩で味わう「塩タタキ」が今、注目されています。
土佐料理研究家の宮川逸夫さんは、「高知県のタタキは、大きく3つに分けられます。高知市内の二杯酢のタタキ、県東部の柚ノ酢タタキ、そして県西部の醤油タタキです。とはいえ醤油が家庭の調味料として普及したのは戦後。それ以前は貴重品でしたから、塩で食べるのが普通でした」。従来の食べ方に戻っているのかも、と話します。

土佐料理司高知本店の塩タタキ
土佐料理司高知本店の塩タタキ。炭火で一気に焼き上げます

土佐料理の最高傑作
郷土の味はその土地で味わって

鰹のタタキの歴史は古く、本能寺の変後に東へ逃れた徳川家康が、伊勢・松坂の松本家で食したとも。「鰹は高級魚。庶民が食するのは明治からです。それまでは、磯魚と総称する安値の魚を、焼き切りという皮を焼く調理法で食べていました」。これが、鰹のタタキに発展したのでは、と宮川さん。「藁や炭で焼く以前、元は浜で拾う流木や竹を燃やしてあぶっていました。それに塩を振り、包丁の背で軽く叩いて食べていました」。

なぜ炙るのかについては、諸説が流れていますが、「皮と身の間の脂が何より美味しいところ。皮を切ると、その部分も削がれてしまいます。そこを生かして刺身にする方法はないかと、考え出した食べ方。鰹のタタキは、土佐料理の最高傑作ですね」と、笑顔の宮川さん。郷土の味は、「その場に来て味わってこそ。水と空気が違いますよ」。

新鮮だからこそ、シンプルに塩でいただける、鰹のタタキ。県外から来る人が口を揃えて「別物だ」とうなる、高知の鰹を味わいに、訪れてみるのも一興です。

土佐料理研究の第一人者である宮川逸雄さん
PROFILE
土佐料理研究の第一人者である宮川逸雄さん。
16歳で名門料亭・得月楼に弟子入りし、旅館や料亭で修業。その後、自らの包丁で料理を振舞うより、技術を家庭に広めることで、何十倍の人の笑顔を作れると考え、料理教室を開催。精力的に土佐の食文化の研究を続けている

炭火焼き製法でパリッとした皮に

シンプルながら、こだわりも多い、鰹のタタキの作り方。大正6年創業の「土佐料理司高知本店」で、調理長・伊藤範昭さんに、塩タタキを作ってもらいました。

「鰹の大きさは、3.5~4㎏のものを用いて、脂の乗りと身の締まりの良いものを選んでいます。これをおろして、塩を振り、1時間ほどなじませます。その後に、皮をパリっとさせるため、炭火の高温で一気に焼きます。これを、温かいままお出しするのが、当店の塩タタキです」

出来たてのタタキは、ほんのり香ばしく、臭みの全くない身が、口の中でとけていきました。ツマのニンニクといただくと、さらに旨みが増します。

「炭火焼きで、クセのない美味しさを目指しています」と、店長の北村宏輔さん。鰹の味は見極めが難しいそうですが、訪れた人に美味しいものを食べてもらいたいと、「一本釣りにこだわって、鮮度のよい鰹を仕入れています。秋の鰹は、味が濃くてインパクトが強いですよ」。高知でぜひ良い思い出を作ってもらいたい、と熱く語ります。

鰹に塩を振り、高温の炭火で焼きます(調理長の伊藤さん)
鰹に塩を振り、高温の炭火で焼きます(調理長の伊藤さん)
土佐料理司 高知本店

住所/高知県高知市はりまや町1-2-15
TEL/088(873)4351
営業時間/月~土=午前11時30分~午後10時、
日祝=午前11時~午後9時30分
休み/なし
※塩タタキは要予約

土佐料理司 高知本店

高知の味自慢が集う
地元ご用達のひろめ市場

高知城のふもとにある、ひろめ市場。ここは、土佐・山内家に仕えた名家老、深尾弘人蕃顕の屋敷跡で、「弘人(ひろめ)屋敷」と呼ばれてきた場所です。
これに衣食住文化や人とのつながりを「広める」とかけて名づけられ、オープン11年目を迎えました。

活気ある市場内には、料理から衣類、雑貨などの約60店舗が集結し、迷路に入り込んだような雰囲気。
高知の豊かな味覚をリーズナブルに楽しめると、平日には地元の人で、休日は観光客によって賑わいを見せています。

ひろめ市場
ひろめ市場

住所/高知県高知市帯屋町2-3-1
TEL/088(822)5287
営業時間/平日・祝日=午前8時~午後11時、
日曜=午前7時~午後11時
(飲食店は午後2時~5時の間、休む店舗もあり)
休み/元日、1・5・9月の第2または第3水曜

ひろめ市場
やいろ亭
やいろ亭

元気な声と笑顔のママが迎える「やいろ亭」では、塩タタキが一番人気。その日の鰹の状態を「鮮度も脂も最高!」など、手書きのちらしを店先に記しています。

吉照
吉照

吉照流・醤油タタキが人気上昇中の「吉照」。「県西では醤油タタキを食べていたと聞き、研究を重ねて出来上がりました。元来の食べ方を元に、新しい味になっていますよ」と店主の吉川和秀さん。ひと手間かけた醤油の風味が、鰹の素の旨みを引き出しています。

明神丸
明神丸

藁焼きの豪快な炎を見ることができる「明神丸」。所有する鰹船で獲ってきた鰹を、実演販売しています。土佐漁師自家製の柚子風味ポン酢でいただけます。

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見どころ

●はりまや橋

高知の街の中心にある、赤い欄干の小さな橋。江戸時代の豪商、播磨屋と櫃屋が堀に設けた橋で、竹林寺の僧純信とお馬の悲恋で有名に。当時は簡素な木造でしたが、明治には鋳鉄製のものが出き、昭和33年に朱色の欄干に。歌謡曲のヒットから映画も製作され、全国に知られるようになりました。
現在、橋の下に水路が作られ、道の反対側を含む、はりまや橋公園となっています。


はりまや橋
●桂浜

弧を描く砂浜に、松林の映える桂浜は、月の名所として「よさこい節」にも唄われています。
東端の龍頭岬には、坂本龍馬の銅像も。






桂浜
●高知城

市街地の中心に建つ高知城は、江戸時代初めに、掛川から土佐へ入国した山内一豊が築城しました。天守閣と追手門は当時の姿を残しています。現在、天守閣の塗装等の改修を行っており、2009 年12月中旬に完了予定です。


住所/高知市丸の内
開館時間/午前9時~午後5時(入館は4時30分まで)
休み/12月26日~31日
TEL/高知城管理事務所 088(824)5701


高知城
●高知県立坂本龍馬記念館

龍馬直筆の手紙や、所持していたピストル(模型)など、龍馬の生き様を体感できる展示が並んでいます。


住所/高知市浦戸城山830
TEL/088(841)0001
開館時間/午前9時~午後5時
休み/なし
入館料/大人500円、高校生以下無料



阿波十郎兵衛屋敷
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