広島市から東へ約30㎞にある町、西条。赤レンガの煙突と、白壁、なまこ壁といった、酒蔵特有の風景が美しい街並みです。
広島は、灘、伏見と並ぶ酒どころ。中でも西条は、江戸時代には宿場町として栄え、大正時代に醸造蔵が出来始めました。その後、次々と酒蔵が建ち、現在では8つの酒蔵が残っています。
この西条で、知られているのが、名物料理「美酒鍋」。酒蔵で働く蔵人が伝えてきたものです。
賀茂鶴酒造の野代信幸さんは、「男たちの料理ですね。酒造りの繁忙期には、24時間張り付いて働かなければなりません。冬の初めから3月まで、手を抜けない厳しい状態のなか、きき酒に影響が出ないように、食材を塩・こしょうで味付けし、酒で煮ています」と話します。
鳥の内臓や、野菜などを入れる美酒鍋は、「賀茂鶴の初代営業の石川和知という人物が、蔵の中に入って、職人たちとより良いコミュニケーションをとるために作ったものだと、聞いています」。
手早くスタミナのつく料理としてだけでなく、蔵人たちの思いが詰まった名物料理と言えそうです。
- 酒蔵の並ぶ、西条の街