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食通がうなる家島の味。

焼きワタリガニの大きさに唖然。「600g以下は使わない」というご主人のこだわりだ。要予約。時価。

旨みを封じ込めたこだわり料理に悶絶。

豊富なエサがあり、多くの魚が回遊する播磨灘。そこに浮かぶ大小44の島からなる家島諸島のひとつである家島で、おいしいもののためなら手間暇惜しまず、漁師から直接仕入れた旬の島魚でもてなしてくれるのが、宮港近くにある割烹旅館志みずだ。東京や大分から日帰りで来る人もいるほど。お目当ての焼きワタリガニは、5時間かけて焼き上げる贅沢な一品。「カニは沸騰させると肉汁が出てしまうんです。肉汁や匂いまで封じ込めるため、生きたカニをお酒で2時間酔わし、火から20㎝離してとろ火で3時間かけて焼きます」とご主人。甲羅を外すとカニの匂いと肉汁が一気にあふれ出す。それを甲羅で受け、脚にむしゃぶりつく。ぎっしり詰まった身は甘く濃厚で、あまりのおいしさに声も出ない。すすめられるまま肉汁を熱いご飯にかける。あっさりした中にカニの風味が広がり旨い。

これでもかと肉汁があふれてくる。訪問した日は身がおいしいオスを食べたが、12月から4月半ばはメスのクリーミーで濃厚な卵と味噌を味わえる。

ワタリガニ1杯を使った豪快なパスタも絶品だ。干しガレイとシャコの殻でだしをとり、タマネギ、ニンニクを炒め、2日かけて仕込んだソースは複雑に味が重なり合い、塩、こしょうだけで味付けしたとは思えない。

穴重も全然違う。肉汁を落とさないように焼いた身はふっくら香ばしく、脂がにじみ出る。タレがしみこんだご飯は一粒一粒までおいしい。「ご飯とタレを同じぐらいの温度で和えることでうまくからみあうんです。恋愛と一緒やね」。ご主人の軽快なトークも楽しく、旨いもん尽くしに笑顔しか出なかった。

ワタリガニのパスタの仕上げはテーブルで。バーナーで甲羅をあぶると裏についた味噌がポトリと落ち、まろやかさを加える。要予約、ワタリガニのパスタ(2~4人前)11,880円~(サービス料別)※カニの大きさにより麺の量も変わります。
味の決め手となるタレは、アナゴの頭500匹を焼いて5時間かけてだしを取り、34年間使い続けているタレと合わせて煮込んだ手の込んだもの。穴重は予約なしでもOK。2,000円。
コース料理(7,560円~、サービス料別)は部屋でのんびりくつろぎながらいただける。宿泊する場合は、豊富な播州の地酒もぜひ。
「家島まで来てくれるんやからおいしいものを食べてもらいたい」とご主人のKAZZさん。
DATA 割烹旅館 志みず

住所/兵庫県姫路市家島町宮85 TEL/079-325-0777 営業時間/12:00~19:00 定休日/無休

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ご夫婦の〝家〟で食べる旬魚のごはん 。

家島のもうひとつの港、真浦港から風情ある細い路地を進んだ先にあるのは、ご夫婦が自宅で営む食堂かわさき。その日水揚げされた魚をおまかせで楽しませてくれる。今回はあえて焼き魚とフライをリクエスト。アジのフライは臭みがなく、肉厚の身がふわふわ。焼きダイはかぐわしい香りと、引き締まったジューシーな身がたまらない。「魚が新しいから私に技術がなくてもおいしいの」と言うお母さんは実家が魚屋。魚を知り尽くしているのは間違いない。採算度外視のボリュームと温かなもてなしに心から満たされた。

魚が傷まないように漁をし、朝のうちに水揚げされた魚を仕入れているからすこぶる活きが良くおいしい。
おまかせコース(刺身、煮付け、サバのしゃぶしゃぶ、小鉢など。3,700円~)が定番だが、希望にも対応してもらえる。
DATA かわさき

住所/兵庫県姫路市家島町真浦1946-2 TEL/079-325-0177 営業時間/希望時間に対応 ※要事前予約 定休日/不定休

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食通がうなる家島の味。

焼じゃこ鍋コース6,980円~。季節や天候によって魚は違い、約10種類が入る。秋はワタリガ二(オプション)がおいしくなる。2名より、要予約。

二度、三度と旨い驚きの鍋。

じゃこは雑魚を意味するが、真浦港に面した旅館おかべの「じゃこ鍋」は、想像がつかない高級魚ばかりの豪華鍋。元は市場に出せない小さな魚を食べるための漁師鍋で、ご主人が島おこしのためにアレンジ。「家島のおいしい魚を食べてほしくて、次第に高級魚を入れるようになったんです」と満面の笑みだ。

さっきまで生きていた「ぼうぜ鯖」をまず刺身でいただく。背側はあっさり、腹側は脂がのっていてコリコリもっちり。その切り身をしゃぶしゃぶにすると口の中でとろけていく。すると次から次へ出てくるわ、大ぶりに切って串に刺したタイに、カワハギ、メバル、コチ、グチ…。オコゼはまだピクピク動いている。順番にだしにくぐらせ、そのまま、あるいは自家製ポン酢やしょうが醤油で味わう。旨みや食感、脂ののりがそれぞれ違ってパクパク食べられる。最後は魚のエキスがしみ出た濃厚なだしにご飯や素麺を入れて〆の一杯。こんなに一度にいろんな魚を味わったことはない。とてつもない満腹感と幸福感に満たされた。

魚に串を刺すのは鍋の底に身が沈むのを防ぎ、食べ頃がわかるように。直前に魚をさばき、ひとネタずつ煮て食べていくのがおすすめ。
透き通るサバの身が鮮度の良さを物語る
急斜面に家がぎっしり建ち、独特の景色が広がる。
家島観光事業組合の組合長も務めるご主人の岡部さん。「多くの人に来てほしい」とおいしいものの開発に余念がない。
DATA 料理旅館 おかべ

住所/兵庫県姫路市家島町真浦2421 TEL/079-325-0340 営業時間/11:00~14:00、17:00~21:00 定休日/不定休

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坊勢島や家島など播磨灘でとれた魚が水揚げされる妻鹿漁港。そこにあるフィッシュモールでは、漁協の直売施設や海鮮料理の店があり、とれたての活きのいい魚を買ったり、食べたり、いろいろ楽しめる。11月には「ぼうぜ鯖祭り」が開催され、播磨灘の海上いけすで大切に育てたブランド魚「ぼうぜ鯖」の試食や格安販売が行われ、脂ののった豊かな旨みを堪能できる。

セリを前に活気あふれる妻鹿漁港

11時から始まるセリに向けて、漁に出た船が続々戻ってくる。豊富な種類が水揚げされ、生きたままセリにかけられる。

セリで落とした魚はすぐに店頭へ

JFぼうぜ姫路とれとれ市場
漁協の直売施設で、水槽が並び、とれとれの魚が生かした状態で販売されている。鮮度はお墨付きで、好きな魚を購入し、その場で刺身や煮付けなどに調理してもらって味わえる。

DATA JFぼうぜ姫路とれとれ市場

住所/兵庫県姫路市白浜町字万代新開甲912-18 電話/079-246-4199 
営業時間/[日曜日]7:30~16:00、[平日]9:00~16:00  定休日/水曜日

島の味を楽しむならココ

フィッシュモール内には、家島諸島の坊勢島で魚の卸業を営む天晴水産の直売所がある。その2階には海鮮料理店「みのり家」があり、島のお母さんの味を堪能できる。

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