ホーム > 瀬戸マーレ vol.38 > 秋に旨みを増す「鳴門鯛」を味わい尽くす。

秋に旨みを増す「鳴門鯛」を味わい尽くす。

徳島で鯛めしと言ったらとゝ喝の名前があがるほどの名物。その味を一度知ったら忘れられなくなる。鯛めし 一釜(2合)3,240円~

鳴門海峡の荒波にもまれて育ったタイは身が引き締まって味が良く、魚の王様と称されている。そのなかでも「うず華鯛」は、堂浦で一本釣りされ、選び抜かれた「鳴門鯛」の最高峰。どうしても食べたくて、徳島の繁華街に店を構えるとゝ喝を訪ねた。

ご主人の増田さんは地物の魚にこだわり、セリにかけられる前に自ら生きた魚を目利きし、一番いいものを仕入れているという。「秋口のタイは脂がのって抜群に旨いんです」とすすめてくれたのは刺身。弾力のある身は甘みがあり、豊潤な旨みの余韻が舌に残る。とゝ喝では、白身魚の刺身は水分を飛ばし、短時間熟成させているから旨みがより濃厚だ。

大鳴門橋が架かる鳴門海峡はうず潮の名所。複雑な地形と潮の満ち引きが激しい潮流を生み、身の引き締まったおいしい魚を育む。

「これもぜひ」と出してくれたのは酒蒸し。「骨についている部分がおいしいから上品に食べたらだめなんです」と言われるまま骨にしゃぶりつく。濃厚な身と口のまわりのトロトロのゼラチン質が最高だ。味付けは酒と昆布だしと醤油をほんの少したらしているだけ。シンプルなのにこのふくよかさはなんだろう。だしも一滴残らず飲み干してしまう。「大切にしているのは素材の味を生かす引き算の料理なんです。素材が良いからこそ最小限の味付けが一番で、毎日食べても飽きません」。  

真骨頂は鯛めしだ。タイに塩をふって焼き、酒と昆布だしと香りづけに白醤油をたらして火にかける。土鍋の蓋を開けた瞬間に立ち上る香ばしい匂いと、ドーンと丸一匹乗ったタイにノックアウト。身がほぐされ、ほどよくお焦げもついたご飯をほおばると、タイの旨み、甘みが押し寄せ、後からだしがほんのり香る。食べきれなかったご飯はおにぎりにして持ち帰ることができるというからうれしい。主役はあくまでも魚。まだまだおいしい地物があるというから楽しみでならない。  

地物のその日一番おいしい魚を刺身で。
お造り盛り合わせ 2,160円~
タイの旨みが五臓六腑にまで染み渡る。
鯛の酒蒸し 1,620円~
毎日包丁をひいていると脂ののりがわかるという。
地元でしか味わえない料理を楽しみに来てください。
DATA 徳島魚問屋 とゝ喝

住所/徳島県徳島市紺屋町13-1
TEL/088-625-0110 
営業時間/17:00~23:00(L.O. 22:00)
定休日/日曜日 ※定休日が祝日の場合不定、月曜が祝日の場合は日月連休

「鳴門鯛」のだしがきいたラーメンはさすがの旨さ

「鳴門鯛」の旨みたっぷりの鯛塩スープが人気のラーメン店「堂の浦」。麺を食べ終えて残ったスープに十五穀米(塩昆布かチーズ)をぶっ込んで食べるのが堂の浦スタイル。ランチタイムは十五穀米と揚げ物付きのセットがある。

鯛の塩らーめん 600円
タイの風味豊かなスープがあっさり。タイの皮を揚げたトッピングが香ばしく、パリパリのうちに食べるのがおすすめ。十五穀米+スープは上品なお茶漬けのよう。
雲丹潰し 800円
鯛塩スープにウニがたっぷり。甘みとコクがあり、トッピングの焼きウニ、生卵、バターを混ぜるとカルボナーラのよう。十五穀米+スープで洋風リゾット風に。
DATA 堂の浦 駅前店

住所/徳島県徳島市寺島本町西1-45-1
電話/088-652-5112
営業時間/12:00~14:00、18:00~23:00
定休日/年末年始

TOPに戻る

絶品、小魚グルメ。小松島で発見!

みりん、昆布など10種類以上ブレンドした特製酢飯とシラスの相性が抜群。生しらす丼 1,500円、釜揚げしらす丼1,300円、ハーフ丼1,300円。

生も釜揚げも、「しらす丼」は鮮度が命

徳島市から南へ、紀伊水道の豊かな漁場に面した小松島市和田島町は、シラス漁業が盛んな地。この地でとびきり新鮮なシラスを味わわせてくれるのが小松屋だ。「今日は漁がなかったから生シラスはないんですよ」とご主人。少し残念だが、この店では朝獲れの生シラスしか出さない。そのこだわりがいい。水揚げしてすぐ塩と氷で3回締めた生シラスは生臭さが全くなく、白銀に輝き、濃い旨みとつるんとしたのどごしを楽しめる。

釜揚げも負けていない。和田島では漁師一軒一軒が釜を持っていて、水揚げして10分以内に浜でゆで上げる。ご主人は漁師さんのもとに毎朝駆けつけ、塩加減を調整するそうだ。「新鮮だからぴんぴんしとるよ」との言葉通り一匹一匹がしっかりしてふっくら、塩加減が絶妙で優しい味がする。徳島ならではのスダチを搾るとさっぱり。ご飯を覆い尽くすほどのシラスの量で、汁物も小鉢もシラス尽くし。いろんな味を「これでもか」と堪能した。

汁物にもシラスがたっぷり。生シラスだと格別にいいだしが出る。
生シラスの沖漬けも絶品。小鉢に登場することも。
DATA しらす・浜料理 小松屋

シラス問屋の小松海産が営む食事処で、店内ではちりめんじゃこ、干しエビ、ワカメなども販売。シラス以外にも新鮮な海の幸を使った料理が豊富。

住所/徳島県小松島市和田島町明神東62-4
TEL/0885-37-2656
営業時間/11:00~15:00
定休日/日曜日 ※漁の都合により休むことも。

谷ちくわ商店
丸かじりが旨い、小松島名物の焼きちくわ。

練り物屋の朝は早い。午前7時の開店を待つように、種類豊富な練り物を買い求めに谷ちくわ商店にたくさんの人がやってくる。なかでも天然の竹に魚のすり身を巻き付けて焼きあげた竹ちくわは、小松島の名物。源義経が源平屋島合戦で小松島に上陸した際に食べて賞賛したといわれている。魚の旨みと食感を大事に作られた竹ちくわは、香ばしくてシコシコの歯ごたえがおいしい。生で丸かじりするのが基本で、スダチを搾るのもおすすめだ。

加える水の量をできるだけ少なくし、濃厚な魚の旨みを出す
香ばしく焼かれたちくわが次々出来上がる。
ごま天も人気。薄さが特徴で、舌でとろけるおいしさ。
1本から購入でき、食べ歩きにぴったり。1本95円。紙包は5本から。
DATA 谷ちくわ商店

明治末期創業。「いい材料を使うのがおいしさの秘訣です」と3代目(左)と2代目(右)のご主人。

住所/徳島県小松島市横須町3-59 TEL/0885-32-0867
営業時間/7:00~16:20 ※売り切れ次第終了  定休日/不定休

津久司蒲鉾
徳島のソウルフード、カレー風味のフィッシュカツ。

徳島でカツといえば、魚のすり身にカレー粉などの香辛料を入れ、パン粉をまぶして揚げたフィッシュカツのこと。いろんな店で販売されているが、元祖は津久司蒲鉾。「魚の旨みは人間が味付けできないから」と、近海でとれた魚にこだわり、タチウオ、エソ、アジを中心に季節の魚を使い、伝統の味を守り続けている。魚の濃い旨みがサクサクの香ばしい衣に包まれ、スパイシーな風味が食欲をそそる。特に揚げたてのおいしさは格別で、お昼12時頃までに店舗に行くと揚げたてを食べられるのでぜひ味わって。

水揚げされたばかりの魚を手早くさばく。
湿度や魚の種類により練り具合を変える。
1日になんと12,000枚も作られる。1枚108円と安い!
パン粉をカリッとさせるため薄めに成形。
DATA 津久司蒲鉾

「ウスターソースやマヨネーズをつけてもおいしいですよ」と3代目主人の古川さん

住所/徳島県小松島市南小松島町2-34 TEL/0885-33-2345
営業時間/6:00〜14:00  定休日/日曜日

TOPに戻る