
本瓦葺、白漆喰仕上げの重厚な町家が美しい脇町。2階の隣家との境にある防火用の袖壁がうだつで、競うように上がっている。
江戸中期より藍の商いで栄えた脇町。立派なうだつが上がる町家が約400mにわたって連なり、いかに富裕だったかがわかる。
そのうだつの町並みの西端にあるのが、美馬和傘をつくっている美来工房だ。脇町の隣の美馬町では良質の竹が取れ、最盛期は200軒の和傘屋があった。洋傘におされて2軒を残すのみとなったが、美馬の伝統工芸である和傘を継承したいと有志が立ち上がり、美馬和傘製作集団を結成して取り組んでいる。
工房には骨太でシンプルな番傘、華やかでカラフルな蛇の目傘、小ぶりの日傘が並び、風情ある美しさにうっとり。目の前で職人が和傘を作っているのを見ると、自分もひとつ欲しくなってくる。
「今は材料が手に入らないため、自分たちで竹を割り出し、一から作っているんですよ」と美馬和傘製作集団のみなさん。傘骨をつなぎ、胴に和紙を張り、雨傘用の番傘や蛇の目傘には和紙に油を入れて撥水性を持たせ、いくつもの工程を経て仕上げていく。
なかでも目をひくのが、傘の内側の美しい糸飾り。装飾のためだと思ったら、陰陽五行の五色を用いて糸飾りで蛇のうろこを表すことで結界を張るのだという。和傘はもともと身分の高い人が使うもので、空から降る邪気を払う意味があるのだ。そんないわれや歴史を教えてもらえるのも楽しい。
いよいよ製作体験だ。好きな柄の和紙を張ってランプシェードやディスプレイ用のミニ和傘をつくったり、糸飾りをして実際に使える日傘を仕上げたり、完成したときの満足感はひとしお。光に透かしたときの柔らかな雰囲気がなんともいえずに美しかった。
住所/徳島県美馬市脇町大字脇町92
TEL/090-1002-3020
時間/9:00~17:00
定休日/年末年始(日程は問合わせ)
駐車場/道の駅駐車場
材料などの準備のため、2週間前までの予約が必要。
●ランプシェード(高さ約19㎝)
所要時間/90~120分
料金/3,000円(+500円でランプ付き)
●ディスプレイ用ミニ和傘
所要時間/約120分 料金/6,000円
●絵日傘(直径約92㎝ 実際に使用可能)
所要時間60~90分 料金/20,000円
抗酸化や殺菌作用があるとされる藍。
道の駅藍ランドうだつ内にあるカフェとお土産の店「藍蔵」には、
藍染め以外にも、食べる藍やコスメなど珍しい藍グッズがいっぱい。
住所/徳島県美馬市脇町大字脇町55
TEL/0883-53-2333
営業時間/売店9:00~17:30、喫茶11:00~14:00
定休日/12/27~1/1