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「美術館に行こう。」-私の美術館体験記 応募作品のご紹介

美術館体験記 広島県・呉市立美術館 写真

広島市 重藤さん(男性) 

呉市立美術館訪問日
2021年1月4日

水船六洲と聞いて、その名前を知っている人はどのくらいいるのでしょうか。私も以前、広島県立美術館のコレクション展において、白・黒に着色された彫刻に強烈な印象を受けるまでは、水船六洲の名前はもちろん知りませんでした。
ということで、このたび、呉市立美術館で開催される「没後40年 水船六洲-木彫と木版 木に刻む詩-」と題した展覧会のチラシを見て、早速、同美術館を訪問することとしました。
チラシの紹介文によりますと、水船六洲は清新で前衛的な彩色木彫で注目を集め、版画家としては日本的情趣「ものの哀れ」を感じさせる木版画により国際的に高く評価されたとのことです。
展示されている作品は、木版画が大半を占めていましたが、私のお目当ては、チラシにも大きく紹介されていた白・黒色で着色した彫刻「指人形」です。見るものを引き付ける不思議な存在感を持った作品でした。こうした感動が私に美術館巡りをさせる大きな動機付けとなっています。呉市にゆかりのある水船六洲の彫刻作品をもっと多くの人に知ってほしいとも思った次第です。
呉市立美術館には、これまで、何度となく足を運んでいるのですが、今回はオーギュスト・ルノワールの「麦わら帽子の少女」の特別展示があり、この作品を拝観することができたことは大変ラッキーでした。また、合わせて、水船六洲と同時代作家の作品展示や、小特集として芥川永の作品展示も拝観することができ、個人的にはとても満足度の高い美術鑑賞になりました。
また、同美術館正門前の美術館通りにも、水船六洲作の「斧」が設置されており、見忘れないよう注意が必要です。この美術館通りは「日本の道100選」にも選ばれており、彫刻が沢山設置されているので、彫刻巡りを楽しむこともできます。
なお、呉市は日本近代化の躍動を体感できるまちとして、横須賀、佐世保、舞鶴とともに、日本遺産に認定されており、同美術館の周辺には、旧呉鎮守府司令長官官舎、旧呉海軍工廠塔時計、旧高烏砲台火薬庫などの日本遺産を構成する文化財が多数現存しており、また、少し足を延ばせば、大和ミュージアムや海上自衛隊呉史料館(てつのくじら館)なども立地していますので、遠方から来られた方には、合わせて回られることをお薦めします。