HOME > 私の美術館体験記募集! > 美術館体験記応募作品のご紹介 > 広島県・尾道市立美術館

「美術館に行こう。」-私の美術館体験記 応募作品のご紹介

美術館体験記 広島県・尾道市立美術館 写真

広島市 重藤さん(男性)

訪問日:2015年5月9日

尾道市立美術館で開催中の「牛島憲之展」、最終日の前日にやっと行くことができました。文化勲章を受章された高名な画家の展覧会なので、是非行ってみたいと思っていたのですが、本当に見に来てよかったと思える展覧会でした。

先ず展示作品については、チラシでも紹介されている通り、牛島憲之画伯の初期から晩年にいたる画業の変遷がよくわかるとともに、いずれの絵もシンプルな画面で構成され、独特な色彩感覚で表現されています。

思わず絵の中に引き込まれそうになる静寂感や詩情あふれる独自な画風に、絵の前で暫し時間のたつのも忘れそうになりました。牛島憲之画伯の絵は時々見ることもあるのですが、これだけ多くの作品を一堂に展示する展覧会で見る機会は初めてだったので、独自の世界観を有する牛島芸術に今回は十分浸ることができました。

ところで、このたびの展覧会は牛島憲之記念館を設置している府中市美術館のコレクションで構成されているとのことですが、尾道市立美術館においても、もし同様に特定作家の作品をコレクションされているのであれば、企画展示と合わせてコレクション作品の観覧もできるようにされるとよいのではないかと思いました。

尾道市は、文化庁が創設した日本遺産にも認定されるなど、豊かな文化と歴史を有するとても魅力のある町ですが、元々、絵になるまちとして全国的にも有名な都市で、当美術館でも「絵のまち尾道四季展」が開催されているほどです。また、地元の尾道市立大学には芸術系学部もあるなど、美術館と都市と大学が一体となって、アートの発信で地域の活性化を推進されており、尾道の町として底力を感じています。

最後に是非ご紹介しておきたいことがあります。これは当美術館の「おもてなし」の一つだと思うのですが、館内を移動する要所要所に椅子が配置されていることです。美術鑑賞は結構疲れるものですが、とりわけ高齢者には大変ありがたいきめ細かな配慮だと思います。そして椅子自体も色やデザインなどが楽しくて、いずれも思わず座ってみたくなる椅子でした。

広島県尾道市 中川さん(女性)

訪問日:2012年4月28日

日本を代表する『4大浮世絵師 写楽・歌麿・北斎・広重展』があると言うので行ってみました。昨年、TVで江戸から明治にかけての日本の絵画・工芸というものの素晴しさを語っていましたが、細密な線や美しい色合いを目にして、実感しました。本当に素晴しかったです。

ゴッホやモネに影響を与えたというのも、なるほどです。

浮世絵というと『静』のイメージがありましたが、強風に編笠などが、飛ばされている様子とか、吉原の恋人達の様子を、家の中と外を同じ画面に描いていたり。漫画までもあるとは!楽しく見学できました。イギリスから里帰りをしているものも展示されていました。お帰り…。

私が、この美術館で楽しみにしている事があります。ところどころにある休憩スペースに、多種多様でユニークな椅子が置かれている事。ここに腰掛けて、窓の外をじっと眺めていると、島と海と青空は、ひと時だけど、私のものになるのです。

広島市 重藤さん(男性)

訪問日:2011年12月23日

これまであまり見る機会のなかった「小泉淳作」の作品展が、尾道市立美術館で開催されていることを知り、早速、観覧に出かけてきました。

水墨画など代表作を集めた作品群は、いずれも見ごたえのあるものばかりでした。特に印象的だったことは、雄大な海岸や山容、身近な花や野菜、そして躍動感あふれる龍など、スケール感が全く異なる作品にも関わらず、どの作品も細部にわたりとても丁寧に描かれており、静寂な中にも力強い生命感があふれていたことです。全作品を見た後、心が洗われるようなすがすがしい気持ちになりました。

また、この日は空気が澄んでいたので、展望室からの眺めがとてもよく、眼下の尾道水道をはさんだ街並みや瀬戸の島々は美しい風景画のようでした。

なお、職員の方々に街歩きやグルメのパンフレットを求めたところ、親切に色々出していただき、美術館でも観光「尾道」のPRに一役買っていることに感心しました。

伊予郡砥部町 日野さん(女性)

訪問日:2011年8月9日

大三島までの予定だったのですが、ドライブインでパンフを手にして調べたら、とっても素敵な黒猫のデザインが目に入り、安藤忠雄氏の設計(リニューアル)というのも魅力的で、迷わず?『尾道まで行こう!』ということになりました。

橋を渡るたびに、思わず「きれい!」と言いたくなる景色を満喫しながら、到着!駐車場からしばらく歩くと、手前の直線的な箱の上に、ぽっかりとお寺のような屋根があるように見えて、不思議な感じ。

もうひとつ、不思議なのは階段。床から階段の上まで伸びている線の始点が、やや左寄りから中央に向かって斜めに延びており、同じように見えるけれど階段の幅も違うのです。(錯覚?)また、おしゃれなデザイナーさん(イームズ、エーロ・アールニオなど)の椅子が置いてあって、座り心地もとっても良い。また、あの椅子達に会いに行きたいです。

肝心の企画展はどうだったかというと、もちろん何をとってもおしゃれでした。

松山市 菅さん(女性)

訪問日:2011年8月9日

それは、「陶酔のパリ・モンマルトル1880-1910」のパンフレットでした。キャバレー「シャ・ノワール」の黒猫のデザインがすごく素敵。そのパンフレットを見て、県外に住む娘が久しぶりに会った時に行きたいと言いました。

じゃあ、今度一緒に行こうと、後日、娘と再会し、尾道市立美術館を訪れました。

モンマルトルのキャバレー「シャ・ノワール」は、新進気鋭の芸術家達が集い、連日連夜、展覧会や音楽会、演劇などが繰り広げられたそうです。キャバレー文化とは?と思っていた私は、その芸術のあふれるエネルギーに驚きました。「シャ・ノワール」で行われていた影絵芝居も実際に再現され、ユーモアあふれる作品に笑みがこぼれ、あの有名なロートレック達もこれを見てたんだと当時に思いをはせて楽しむことができました。

また、この美術館は高台にあり、瀬戸内の景色が美しく見渡せるので、娘との思い出がより素敵なものになりました。