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「美術館に行こう。」-私の美術館体験記 応募作品のご紹介

美術館体験記 兵庫県・BBプラザ美術館 写真

倉敷市 三宅さん (男性)

訪問日: 2014年11月28日

「明石原人」を皆さんは聞いたことがありますか?
日本にかつてナウマンゾウ以外の象が住んでいたことを知っていますか?

明石市立文化博物館の展示室に入ると正面にアカシゾウ2体の骨格標本(レプリカ)が出迎えてくれました。
「ああ、中学校1年生の時にチラッと資料集の片隅で名前だけ見かけたような気がするなあ。」と40年近く前の記憶をたぐり寄せながら、展示を見始めると、海水面の上昇下降や地殻変動による日本付近の陸地の変化のパネルがありました。大陸と地続きだった時代や、瀬戸内海が現在よりも小さかった時代など分かりやすい図でした。「大陸とつながっていたから、象もやってきたのだな。」と納得しながら、次の展示を見ると、そこには「明石原人」の骨(レプリカ)が展示されていました。
私はこの瞬間まで「明石原人」について全く忘れていました。中学校の歴史の時間に北京原人やジャワ原人のことを習った際に自主学習で人類の発生を調べたときに「明石原人」の記述に出会ったことを、この明石市立文化博物館の明石原人の展示を見て思い出しました。
「ここで明石原人に合えるとは!!」と古代ロマンに夢を馳せた少年時代を自分の記憶の中から発掘したような高揚した気分になりました。
発見者の写真や鑑定した東大教授の手紙の他、発見場所付近を発掘調査した映像をみることができ、明石原人の謎に迫る研究者や明石市の熱意まで感じることができました。
古代ロマンといえば、「発掘された明石の歴史展」を企画展として見ることができました。
明石で発掘された須恵器や瓦、菅原道真が北九州に流される途中で立ち寄った言い伝えの場所の石碑拓本などがありました。
古代山陽道を探究した立派な冊子も戴くことができました。明石が奈良・京都といった都に近く、奈良時代から平安時代にかけての最重要視された官道である山陽道が貫く地域であるため遺構も多くかつ歴史的価値も高いのだと思いました。

明石市立文化博物館は地域の歴史に根差した展示が特徴的です。個人的には、日本の他の地域では絶対に見られない「明石原人」と「アカシゾウ」をもっと皆さんに知って戴きたいと思いました。