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「美術館に行こう。」-私の美術館体験記 応募作品のご紹介

美術館体験記 岡山県・倉敷市立美術館 写真

尾道市 山崎さん(女性)

訪問日:2013年10月27日

平成25年10月27日(日)に倉敷市立美術館へ行った。佐藤忠良氏の彫刻展に行ってから二度目だ。

当日、佐々木守俊氏(岡山大学大学院准教授)の仏教美術に関する講演があった。飛鳥~鎌倉時代の仏像に関するお話であった。仏像の様式とか製作者に関するのではなく、よく話題になる仏像、やせた仏像、太った仏像という切り口で話が進められたので、実に解かり易かった。以来、新聞に載る仏像の写真を切り抜いたり、テレビのニュースに登場する仏さまのことも、よく解かるようになった。

華鴒大塚美術館、井原市立田中美術館、笠岡市立竹喬美術館によく足を運ぶ。平山郁夫美術館は隣の島に在るので、頻繁に行く。華鴒大塚美術館では茶会があったりしてこれも楽しめた。笠岡市立竹喬美術館では世田谷美術館のボランティアの方とのサポートで絵を描き、これも楽しかった。
美術館も今までのように、ただ絵を観てもらうという受身から能動へと動いているのかも知れない。この傾向は今後加速するであろうし、して欲しい。

旭山動物園の動物の行動を展示するといった風に、各美術館が知恵をしぼって絵を展示するといった方向にながれれば嬉しい。

広島県福山市 伊藤さん(女性)

訪問日:2012年10月30日

「葉加瀬太郎コンサートツアー2012WITH ONE WISH」のチケットを手に倉敷に出掛けた。駅に到着したのは午後3時30分ころ。1300円支払って大原美術館を堪能するには,閉館までの時間に余裕がない。倉敷市立美術館はどうだろう。「日本近代洋画への道 山岡コレクションと倉敷市立美術館のコレクション」は11月2日(金)からだ。残念に思ったが,3階ロビーで特別展示「水彩画の魅力‐堀和平」を観覧する
ことができた。

水彩画は親しみやすい。今まで油絵の具を使ったことはないし,これからも特別なきっかけでもない限りその機会に恵まれる可能性は高くない。それに比べ,水彩絵の具は明日にでも使うかもしれない。参考にできることがあるだろうか,などと思いながらガラスケースの中の絵を覗き込む。

和服の女性像からは,明治時代の女性の着物の着こなしを観察することができる。私は,浮世絵を観ては,その時代の着物の着こなしを探るのが好きである。しかし,浮世絵は,デフォルメされているなどして,襟元をどのように合わせていたのかなどが正確には分からない。堀和平の作品は写実的である。着物をどのように着ていたのかが,実によく分かる。

堀和平は,写真を用いて絵を描いたことも多いようだ。拡大して写し取るために細かい線を引いた写真も展示されている。写真も絵を描く材料に十分なるものだと感心する。

和風建築の室内を描いた作品も印象に残った。広い座敷に欄間,床の間,開け放たれた障子の外には川が流れているのだろうか。今では,そんな建物も旅館くらいでしか体感することができなくなった。堀和平の絵の中にかつての日本を想像してみる。

何かのついでに立ち寄ることができる美術館があって,ちょっとした出会いがあるのは嬉しい。

美観地区で,堀和平の絵を思い出しながら食事をし,いい気分でコンサート会場に向かった。コンサートも盛り上がって大満足。次回は,観光ブラス美術鑑賞で訪れたい。

広島県福山市 伊藤さん(女性)

訪問日:2012年6月2日

6月初め、単衣の着物を着付けて友人と二人、知人の個展に出掛けた。そして、せっかく倉敷まで来たのだからと、初めて倉敷市立美術館を訪れた。ちょうどコレクション展が開催されていた。印象に残ったのは、中村昭夫の写真。昭和30年第に漁民の生活を撮影したものだ。

数日後、たまたま読んでいた本の中に中村昭夫の写真を見つけた。学校に通うため、船上で生活する両親の元から離れ、寮で暮らす子供たち・・・いや、寮に名前の刻まれた門。

私が美術館に足を運ぶのは、絵や写真そのものを楽しむためばかりではない。むしろ、その背景にある時代や人々の生き方を知りたいからだ。中村昭夫の写真は、私の心を揺さ振った。

広島市 重藤さん(男性)

訪問日:2012年2月8日

画家が生まれ育った故郷の風土は、その作風にも大きな影響を与えます。倉敷市立美術館で観覧した「ちいさなちいさな遙邨展」は、そのことがとてもよくわかる展覧会でした。

池田遙邨の作品を見ていると、気候温暖で穏やかな瀬戸内に生れ育った遙邨だからこそ、自然に溶け込みたいという気持ちが伝わってきて、思わず絵の中の風景に引き込まれそうな感じがしました。

また、遙邨の絵には、色使いなどから何となく同郷の小野竹喬の作風と共通するものを感じました。遙邨は竹喬を頼って京都に出たとのことですが、作者の人間関係なども踏まえて作品を見ると、より一層楽しめるのでないかと思いました。

色々な画家の作品を見比べることができる展覧会もいいのですが、一人の画家の作品をテーマ毎に紹介する本展のような展覧会は、その作家の生きざまにも触れることができ、大変興味深く鑑賞することができました。

倉敷市 原さん(男性)

訪問日:2011年11月10日

開催中の特別展「共鳴する美術2011-工芸の現在-」「アーティストたちの青春」を観覧に行きました。

一階中央部の階段を上り受付を終えて中に入ると工芸展がありました。中でも入り口付近に展示されていた村松加奈子の京焼の香合や茶碗、豆皿、帯留等の 絵付けは秀逸で、よくもまあこんな小さな器に繊細で華やかな模様が描けたなと魅了されました。

絵画は、画家の19才から38才までの作品が年齢別に展示されていましたが、 同年代の作品でも画家の感性によってこうも表現が違うものかと感心しました。絵画を観終えて出ようとしたら、美術館員の方が「時間があるのなら3階にも展示があるので いかがですか?」と親切に声をかけてくださいました。3階では「池田遙邨の食いしん坊万歳」 という題目で、画伯の食べ物や果物等のスケッチが展示されていました。

普段の絵画とは 異なり何かしら親しみを感じました。皆さんも是非一度、訪れてみてください。

岡山市 犬間さん(女性)

訪問日:2011年5月15日

倉敷市立美術館のコレクションの核である池田遙邨の特別展が開催されているというので行ってきました。そのコレクション数は遙邨本人からの寄贈も含め約8000点にものぼるそうで、ほとんど同館のコレクションのみで遙邨の画風の変遷(まさに遙邨の人生そのもの)を見ていくことができるのですから、それは感動ものです。

また同館の見どころのもう一つが建物自体です。元々昭和35年に倉敷市庁舎として建てられた建物だそうですのでデザイン的には非常にシンプルですが、1・2階中央部の広々とした吹き抜けはたいへん開放感があり、初めから美術館として建てられたものだと言われても、そうかもと思ってしまうほど、違和感がありません。

倉敷美観地区より程近い距離にありますので、倉敷観光に来られた際にはぜひ一度訪れてみられることをお勧めします。