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情報誌「瀬戸マーレ」

アートのすすめvol.20 竹久夢二が愛したふるさとで、夢二芸術の原点に触れる

大正ロマン華やかなりし時代に、画家としてはもちろん、デザイナー、詩人としても多彩な才能を発揮した竹久夢二。
その豊かな感性を育んだのは、ふるさと邑久(おく)(岡山県瀬戸内市邑久町)の地でした。ここには夢二が数えの16歳まで過ごした生家があり、そこと岡山市内の後楽園のたもとに2つの美術館が設けられ、夢二郷土美術館として作品や足跡を楽しめるようになっています。
今年は夢二生誕130年を迎え、さまざまな催しが目白押しです。

心の中の詩を叙情あふれる多彩な作品で表現夢二郷土美術館

作品をさえぎるものがなく、間近でじっくりと鑑賞できる展示室。作品を年代順やモチーフで分けるのではなく、展示室を巡ると一つの物語が完結するようなレイアウトや解説が心憎い
本館は大正時代を思わせるレトロな雰囲気

竹久夢二といえば誰もが思い浮かべるのが美人画。憂いを帯びた表情に大きな瞳、S字にくびれたしなやかな肢体は夢二式美人と呼ばれ、見る人の心をとらえて放しません。魅力はそれだけではありません。子ども絵や芝居絵も多く、さらには挿絵、本の装丁、浴衣や日用雑貨のデザインなど今日でいうところのグラフィックデザイナーの先駆けとして、また詩人としても活躍し、マルチな才能で大衆に大変な人気がありました。独学で絵を学び、画壇に属さなかったゆえに自由に制作できたことが多彩な夢二芸術につながったといわれています。
詩情豊かで、どこか郷愁を誘い、切なくも優しく語りかけてくるような作品の数々。それらは夢二の心の中の詩を描いたもので、ふるさとへの思いにあふれています。

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心の中の詩を叙情あふれる多彩な作品で表現

香川県立ミュージアム
200年以上前に建てられたかやぶき屋根の生家。庭には、『童子』で描かれた子どもたちが手をつないで囲んでいる椿が株分けされて植樹されている。周辺には夢二の墓や詩碑を巡れる散策道も

夢二郷土美術館には現存する最大の作品を含む質の高い肉筆作品をはじめ、装丁を手がけた本や楽譜、手紙など約3000点のコレクションがあります。本館では、それらを年4回の企画展でさまざまなテーマから紹介。8月31日までは生誕記念企画展第2弾「夢二の愛した子どもたち」として、3人の男児の父だった夢二の子どもへの温かなまなざしが感じられる作品が展示されています。クイズを解きながら鑑賞できる子ども向けのワークシートもあり、親子でゆっくり楽しめます。
そして、本館から車で約30分の自然豊かな邑久町にある分館では、夢二の生家が生前のまま保存、公開されています。幼い頃に遊んだ裏山など夢二の原風景を体感しながら日本の節句をテーマにした肉筆作品を堪能でき、ふるさとに帰った気分に浸れます。近くには夢二設計のアトリエ兼住居を復元した少年山荘もあり、資料を通して生涯をたどるのも興味深いものです。

DATA

夢二郷土美術館 本館

住所/岡山県岡山市中区浜2丁目1-32
TEL/086-271-1000
開館時間/9:00~17:00(入館は16:30まで)
休館日/月曜日(祝日の場合は翌日)、年末年始
料金/一般700円、中高大学生400円、小学生300円

倉敷市立美術館 アクセスマップ


夢二生家・少年山荘(夢二郷土美術館 分館)

住所/岡山県瀬戸内市邑久町本庄
TEL/0869-22-0622
開館時間/9:00~17:00(入館は16:30まで)
休館日/月曜日(祝日の場合は翌日)、年末年始
料金/一般500円、中高大学生250円、小学生200円
※割引共通券1,000円
HP/http://www.yumeji-art-museum.com/

倉敷市立美術館 アクセスマップ

イベント情報

夢二生誕130年記念イベント
■七夕(分館にて) 

期間/7月6日(日)~8月7日(木)
短冊を書くと、絵葉書をプレゼント。

■夢二生誕130年記念Part3(本館にて)
「夢二の愛した日本」

期間/2014年9月2日(火)~12月7日(日)
日本各地へ旅を繰り返した夢二。旅先で出会った風景や人々との関わりの中から生まれた作品を、旅先での交遊の様子とともに紹介します。関連イベントも多数開催されます。

■「アコーディオンコンサート」(分館にて)

期間/2014年9月14日(日)

◆夢二タクシープラン

タクシーを利用して、本館と分館を快適に移動、鑑賞できるプランがあります。
夢二3時間プラン(昼食・ティーセット付)
料金/1名5,800円~
岡山駅周辺出発2時間(ティーセット付)
料金/1名3,600円~
夢二郷土美術館出発2時間
料金/1名2,500円~
 問い合わせ/両備タクシーセンター
 TEL/086-262-3939

◆ラッピング電車「KURO×夢二」

水戸岡鋭治のデザインにより、夢二の代表作『立田姫』や『加茂川』などをあしらった路面電車KUROが東山線を一日5往復(但し冷房使用期間は運休)します。
  ラッピングバス

せとうち美術館ネットワークとは

瀬戸内の美術館が相互にネットワークを形成して、地域全体としてのアートの魅力を発信する組織が「せとうち美術館ネットワーク」です。今回紹介した2つの美術館を含め、魅力ある48の美術館・博物館が参加しています。ネットワークでは「子どものアート感想文」募集などを通じて、教育普及活動にも力を尽くしています。
HP/http://www.jb-honshi.co.jp/museum/

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