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情報誌「瀬戸マーレ」
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せトラベル 秘境の渓谷が放つパワーと神秘に感動!

船下りに、妖怪に、秘境の地でドキドキが止まらない

国道32号を吉野川の上流に向かう。
四方を取り囲む山々や川の流れが次第に荒々しくなっていく。
目指す祖谷渓・大歩危(おおぼけ)は、深い渓谷が広がる日本有数の秘境のひとつ。
そこに佇むだけでいやされるけれど、冒険心をくすぐる遊びもいっぱい。
絶景に感動したり、不思議体験にときめいたり、ピュアな心がかき立てられる。

大歩危の絶景に思わず息を呑んだ。ごつごつした青白い岩壁がそそり立ち、エメラルドグリーンの清流が岩にぶつかり白く波立っている。大歩危峡観光遊覧船からは巨岩、奇岩が間近に見え、その迫力に圧倒される。しかもよく見ると、どの岩も同じ角度で斜めになっている。なんて不思議なんだろう。

大歩危は四国のほぼ中央に位置し、いまも険しい道と断崖の渓谷、奥深い山々に囲まれた地にある。なんでも2000mぐらい深い海底にある岩石が押し上げられてできたものだそうで、大歩危の岩は川下へ、下流の小歩危は川上へ傾斜し山型になっている。そこから日本列島が隆起してできたことがわかり、国の天然記念物に指定されている。なんというスケールの大きさ。ただただ驚くばかりだ。これほど自然のパワーを感じられる場所はそうないだろうな。

 秘境の渓谷が放つパワーと神秘に感動!
 
大歩危の岩は川下へ、下流の小歩危は川上へ傾斜し山型になっている。そこから日本列島が隆起してできたことがわかり、国の天然記念物に指定されている。
何に見える?
これは獅子岩。まるで彫刻みたい
エメラルドグリーンの清流が岩にぶつかり白く波立っている。

数多くの伝承が今も息づいている

人の手がほとんど入っていない秘境には、何か不思議な存在がいるようだ。大歩危のある山城町では、厳しい自然から身を守り、自然の尊さを伝えるため、妖怪伝承が今も語り継がれている。例えばヒダルガミは、山に入るときに米一粒でも口にするものを持っていないと取りついて、動けなくするとか。そんな地元の妖怪を紹介する妖怪屋敷が道の駅大歩危にあり、藤川谷沿いの妖怪めぐりコースではさまざまな妖怪と出会える。もし本当にいたら…なんて考えるだけで怖い。だけど、危険な所に近づかないなど、大切な教えが秘められていることに感心する。得体の知れない力を妖怪にたとえ、日本人は自然と上手に生きてきたのだなあ。

山奥にいて、わがままをいう子どもを連れ去る。漫画のキャラクターになった。
山奥にいて、わがままをいう子どもを連れ
去る。漫画のキャラクターになった。
山道で飢えと疲れで死んだ旅人の怨霊と言われ、恐れられていた。
山道で飢えと疲れで死んだ旅人の怨霊と言わ
れ、恐れられていた。
悪さをする狸。病気のじいさんに取りついてうどんをたらふく食った。
悪さをする狸。病気のじいさんに取りついて
うどんをたらふく食った。
クモが男の足の指に糸をかけ、入道のいる淵に引き込もうとした。
クモが男の足の指に糸をかけ、入道のいる淵
に引き込もうとした。
頭と背丈が大きい入道で、それに行きあった人は患って亡くなってしまう。
頭と背丈が大きい入道で、それに行きあった
人は患って亡くなってしまう。
妖怪屋敷と石の博物館(道の駅大歩危内)
妖怪屋敷は住民の手作りで、そのせいか展示されている約60体の妖怪はおどろおどろしさのなかにどこか愛嬌がある。山城町に妖怪が多い理由もビデオで解説。

【DATA】
住所/徳島県三好市山城町上名1553-1
Tel/0883-84-1489
入館料/大人500円・小中学生300円・
    幼児無料
営業時間/9:00~16:40(最終入館)
定休/3~11月は無休・12~2月は月曜日
  (祝日の場合は翌日)
妖怪づくしひとつ目丼目玉焼きをひとつ目に見立て、岩豆腐、こんにゃく、ごぼうなど地元の食材がたっぷり。甘辛く煮た野菜がごはんとからみあう。祖谷そばも素朴な味わい。1,000円
レストラン大歩危峡まんなか
目玉焼きをひとつ目に見立て、岩豆腐、こんにゃく、ごぼうなど地元の食材がたっぷり。甘辛く煮た野菜がごはんとからみあう。祖谷そばも素朴な味わい。1,000円(1日20食限定)
大歩危峡観光遊覧船・
レストラン大歩危峡まんなか

同じ敷地に大歩危峡観光遊覧船の乗り場や、妖怪にちなんだメニューを味わえるレストラン、お土産物が並ぶ売店がある。近くには湯宿も整う。

【DATA】
住所/徳島県三好市山城町西宇1520
Tel/0883-84-1211
大歩危峡観光遊覧船:乗船料/大人(中学生以上)1,080円・小人(3歳以上~小学生)540円
営業時間/9:00~17:00
定休/年中無休(増水、強風、暴風雨など
   運航に支障をきたす場合は欠航)
運航所要時間/往復約30分
レストラン・売店:営業時間/9:00~ 18:00
定休/年中無休

こんな楽しみも

てんとうむしモノライダーで、みんな大はしゃぎ!

祖谷の地形を生かして作られた「祖谷ふれあい公園」の中にあり、山肌をなぞるように全長430mを約8分かけてコトコト
走る。林の中をすり抜けたり、川や村を見下ろしたり、移りゆく景色が楽しい。園内には、木製遊具や、有料のキャンプサ
イト、釣り場もある。

祖谷ふれあい公園
【DATA】
住所/徳島県三好市西祖谷山村尾井ノ内379、Tel/0883-76-8585、入園料/無料、モノライダー乗車料金/高校生以上400円・小中学生200円・
小学生未満無料、 営業時間/9:00~17:00、定休/火曜日(祝日の場合は翌日)・12月~2月

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木漏れ日と新鮮な空気に包まれて目覚める朝は最高!

一度はやってみたかった秘境地でのキャンプ。
まわりに民家など一切なく、あるのは深い祖谷の森と近くを流れる祖谷川のみ。
時折、野鳥など生き物たちが訪問してくれるのがうれしい。
満天の星空や早朝の張り詰めた空気を味わえるのも格別だ。

急峻な山道を数え切れないぐらいハンドルを切りながら、奥深い地にある祖谷渓キャンプ村にやってきた。まばゆい緑と清流が暑さを忘れさせてくれる。日が傾くにつれ静寂があたりを支配し、怖いぐらいだったけれど、清冽な森の空気に身も心も包まれ深い眠りにつけた。こんなにすがすがしい目覚めはいつぶりだろう。

祖谷渓キャンプ村 住所/徳島県三好市池田町松尾松本524-2
祖谷渓キャンプ村
【DATA】
住所/徳島県三好市池田町松尾松本524-2、Tel/090-9553-3795、利用期間/4月
1日~11月30日、料金/バンガロー1棟3,600円(5人用)・6,100円(8人用)・テントサイト1,000円(持込テント)
V字に深く切り込まれた祖谷渓はダイナミックで、神々しいばかりの美しさ。その断崖に立つ小便小僧との対比が面白い。
 V字に深く切り込まれた祖谷渓はダイナミッ
 クで、神々しいばかりの美しさ。その断崖
 に立つ小便小僧との対比が面白い。

さあ朝食を作ろう。新鮮な空気を浴びながら味わう朝食ほどおいしいものはない。目覚めのコーヒーも格別だ。パンに卵にウインナーに…、自由にとって、手軽に食べられるビュッフェスタイルがキャンプの朝にはちょうどいい。歩危マートで調達した地元食材がごちそうだ。サラダにしたり、ちょっとあぶったり。ソースをかえるだけでバリエーションが増える。シンプルだけど素朴な味がおいしい。

手軽に食べられるビュッフェスタイルがキャンプの朝にはちょうどいい

シンプルだけど素朴な味がおいしい
目覚めのコーヒーも格別だ。
ジェットボイル PCS FLASH、アルパイン フライパン 16、バティックサロン、チタンサーモマグ 220、スタックイン 野箸、O.D.コンパクトドリッパー4/モンベル

一息ついたら何をしようか。便利なものはなにひとつないけれどそれがいい。五感をフルに動かして自然と遊べるなんて最高の贅沢だ。

こんな楽しみも

地元のうまいもんが歩危マートにぎっしり

JR大歩危駅のすぐ近くにある歩危マートでは、地元の食材や加工品を手に入れられる。なかでも特大の「ぼけあげ」は、オーナーの山口由紀子さんが「何か名物を」と、豆腐屋のおばあさんと一緒に1年半かけて作ったもの。向かいのスペースには椅子が置かれ、「自由にどうぞ」と、石臼でひいた大歩危のお茶を湧き水を使っていれ、茶葉丸ごといただけるのがうれしい。

歩危マート
【DATA】
住所/徳島県三好市西祖谷山村徳善西7、Tel/0883-84-1111、営業時間/8:00~20:00、定休/1月1日、1月・2月の第3日曜日

疲れた身体を癒す、天空の露天風呂

祖谷のかずら橋へ向かう途中にある「ホテルかずら橋」では、風流なケーブルカーで山を登り、緑の中の天空露天風呂で疲れを癒せる。見渡す限り続く尾根の連なりは絶景で、春は桜、秋は紅葉が見事。日帰りだと見ることはできないが、真っ暗闇にぽつんぽつんと見える民家の灯りは、民家ボタルと呼ばれてきれいとか。

ホテルかずら橋
【DATA】
住所/徳島県三好市西祖谷山村善徳33-1、Tel/0883-87-2171、日帰り温泉料金/大人1,200円・6~12歳600円・3~5歳300円(税込)・
3歳まで無料、日帰り温泉営業時間/10:00~16:00、宿泊料金/平日1泊2食付17,280円~(2名1室で1名あたりの料金、入湯税別)

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