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せとうち島めぐり

志々島

香川県三豊市

島の守り神である〝大楠〟を参拝!

周囲3.8㎞の小さな志々島は、詫間港(三豊市)の北西5.5㎞沖に位置します。人口はなんと、19人。昭和20年頃までは、千人以上が暮らしていました。もともと半農半漁の生活で、昭和40年頃からは花の栽培が始まり、最盛期には100軒以上の花農家がいる「花の島」でした。

島に着いて真っ先に目指すのは、樹齢1200年と推定される大楠。古くから島の守り神として大切にされています。

平地が少ない島は、山の傾斜面に集落がぎゅっと密集しています。古い日本家屋の間を縫うように登り、トレッキングルートに沿って行くと、港から30分ほどで大楠に到着!幹回り12m、高さ22・5mの巨樹で、神々しい風貌に目を奪われます。

大楠は山の谷間にあり、明治期の土砂崩れで幹の下が埋まり、地面からすぐに無数の枝が四方に伸びています。その枝の長さは20mにもおよび、龍のよう。

根元には、大楠神社があります。昔、大楠の枝を切った島の人が重い病にかかり、それを機に神社を創建したと伝わっています。手を合わせ、目を閉じれば、さわさわと葉の揺れる音が耳に心地よく届き、肩の力がするすると抜けていきました。

大楠の西側には楠の倉展望台があり、天気の良い日には瀬戸大橋まで眺望できます。現在、かつての「花の島」を復活させようと、「天空の花畑」と名づけ、花畑をつくっている島の人もいます。
島の暮らしや文化、島の人の想いに触れながら、大楠詣での旅はいかがでしょう?

瀬戸内海屈指の大きさを誇る県指定天然記念物の大楠
島全景

シマトリセツ

小林 希さん

取材・写真・文 小林 希さん

旅作家・元編集者。著書に『週末島旅』(幻冬舎)や『週末海外』『大人のアクティビティ!』(ワニブックス)など。2014年に広島(香川県)で島の有志と『島プロジェクト』を立ち上げ「ゲストハウスひるねこ」をオープン。2019年に(一社)日本旅客船協会の船旅アンバサダーに就任。産経新聞などで連載中。

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