
パチパチッと薪がはぜ、炎が揺らめく。一日の終わりに焚き火を囲みながら何も考えずにただ炎を見つめ、家族や友人と語らいながら過ごす。それだけで心安らぐ。
日常から開放されるこの場所は、あわくら温泉元湯。“森”をとことん味わえるゲストハウスだ。部屋の前の庭に焚き火炉があり、満天の星を眺め、目の前を流れる小川のせせらぎを聞きながら、心ゆくまで焚き火を楽しめる。ドリンク片手に、好きなおつまみを炙っていると時間がたつのもあっという間。都会では味わえない豊かな時間を過ごせる。
「西粟倉でしか味わえない食材を堪能してほしい」と、あわくら温泉元湯では、森の恵みのジビエをオーナーこだわりの料理でもてなしてくれる。これが言葉にできないぐらいおいしいのだ。
その秘密は、研究に研究を重ねたレシピと低温調理。西粟倉の上質のシカ肉を使い、肉の厚みによって火入れを繊細にコントロールし、柔らかくジューシーに仕上げている。外もも肉を使ったローストディアーは、食べる直前にさっと表面を炙り、口に入れた途端に芳醇な香りと肉汁があふれ出る。ユッケは内モモと外モモの間のクセのない部位を使い、甘めのタレでマイルドな旨みを楽しめる。
イノシシ肉もおいしい。自家製味噌で味つけした鍋は、脂身の甘さが際立つ。他にも、薪を使って炊いたご飯、西粟倉のヒノキの酵母から作ったヒノキパン、新しくヒノキビールの醸造場が誕生し、ヒノキの香り高い生樽を味わえる。ここでしか出会えないおいしさに心まで満たされた。
西粟倉IC降りてすぐのところにある「道の駅あわくらんど」は、休憩がてら気軽に立ち寄れるスポット。レストランでは、シカ肉やイノシシ肉を使ったメニューが豊富にあり、いろいろ味わってみたくなる。
売店では、西粟倉村だけでなく、近隣地域のジビエの加工品やレトルト食品が揃い、食べくらべをするのが楽しい。新鮮な野菜や果物も購入でき、この地域の食の魅力を堪能できる。
「猪カツ定食」2,050円。美作のイノシシ肉のカツを香ばしく揚げ、サクサクジューシーな旨みを味わえる。脂身がくどくなく、あっさり味わえる。
住所/岡山県英田郡西粟倉村影石418
TEL/0868-79-2331
営業時間/[レストラン]10:00~17:00(L.O.16:20)
[売店]平日9:00~17:00
(土日祝日は18:00まで)
[野菜市]9:00~17:00
定休日/なし
駐車場/あり
疲れた身体と心をほぐしてくれるのは天然温泉100%の湯だ。建物の裏には、鎌倉時代に狸が傷を癒やしたという伝説が残るラジウム温泉がわいている。冷泉のため、間伐材を利用した薪ボイラーで温めているというのもいい。ゆっくり浸かっていると新陳代謝が高まり、身体がぽっかぽかになってくる。
ジビエ料理と温泉は日帰りでも利用できる。癒やされたくなったらまた戻ってこよう。
今年3月にオープンした「BASE 101% -NISHIAWAKURA-」は、西粟倉で今話題のスポット。木材加工などを手がける会社がプロデュースし、ランチやカフェ、村のクラフト作家の作品の販売やいちご摘み体験(1月~5月)などを楽しめる。
ランチのおすすめは、もちろん西粟倉村のシカ肉を使ったジビエ。「10彩1汁膳-鹿-」は、主菜にシカ肉を使っていて、しっとり柔らかなもも肉のロースト、こりっとした食感の心臓のコンフィなどいろんな味を楽しめる。気軽にジビエを楽しみたい人には、「シカ肉と山椒のキーマカレー」や「鹿タコライス」が人気だ。
また、見逃せないのが隣接したストア。フローリングや壁などを作る上でどうしても出てしまうB品の木材が驚く安さで販売されていて、DIY好きにはたまらない。