
大三島の大山祇󠄁神社の隣に、ジビエ専門カフェレストランDAISHINがある。ここで味わえるのは、「しまなみイノシシ活用隊」のイノシシ肉。伯方島と大三島で捕獲されたイノシシを品質を落とさないように迅速、丁寧に食肉処理し、全国のレストランに出荷され、評判を呼んでいる。2017年の「日本猪祭り」の食べ比べコンテストではグランプリを受賞した折り紙つきだ。この「しまなみイノシシ活用隊」を立ち上げ、代表を務めているのが、DAISHINのオーナー渡邉秀典さんだ。
評判のイノシシ肉はどんな味がするのだろう。イノシシ肉100%のハンバーグをいただく。あえて粗挽きにしてあり、ほどよい食感と濃い旨みがたまらない。それでいてあっさり。臭みは一切ない。デミオムライスも絶品だ。スライス肉とデミソースのコクと旨みがふわとろ卵とよくあう。
「しまなみのイノシシ肉は、いろんなジビエを知るソムリエから『脂に柑橘の香りがする』と言われたんですよ」と渡邉さん。ジビエはエサをコントロールできないため、味に差は出ないとされる。しかし、しまなみは柑橘の産地。みかんを食べて育ったイノシシ(もちろん勝手にだが)は、脂に香りがのると考えられている。
実は渡邉さんは柑橘農家でもあり、その被害に困っていた。猟師に捕獲してもらっても、その後の解体が大変。そこでビジネスとしての仕組みを作り、奪った命を無駄にしないため資源として活用しようと考えたのだ。農家や猟友会、移住者などに声をかけ、「しまなみイノシシ活用隊」の活動が始まった。
現在は肉だけでなく、革はレザークラフトに、骨はラーメンに使用され、ファンも多い。さらに活用の幅を広げようと模索中で、ますます目が離せない。
「しまなみイノシシ活用隊」のアンテナショップ的な店。珍しい生ハムなどの加工品や生肉、イノシシ革のオブジェなども販売。
「しまなみイノシシ活用隊」のイノシシ革で小物を手づくりしている工房「Jishac」を訪ねた。ギャラリーには、財布、ポーチ、キーホルダー、オブジェなど豊富な種類、カラーの小物が並んでいる。
作っているのは、「地方でモノづくりがしたい」と大三島に移住した重信幹広さんとRUIさん夫妻。「しまなみイノシシ活用隊」がイノシシの活用を進めていることを知り、自らもメンバーとなり、イノシシ皮の下処理にあたっている。
イノシシ革の魅力は天然素材ならではの風合い。個体によって傷や質感、色の出方が違い、それを生かしたデザインが面白い。弾力、通気性に優れ、メンテナンスいらずなのも嬉しい。一度使ったら手放せなくなりそうだ。
事前予約のワークショップで6種類から選べるレザークラフト体験が楽しめます。
工房名には、自分の尺度で工夫して使ってほしい、磁石のように共感して引きつけられるものであってほしいという願いが込められている。商品はDAISHINなどのショップやHPでも購入できる。
住所/愛媛県今治市上浦町盛2036 TEL/090-1856-0965
営業時間/不定 定休日/不定休 ※訪れる場合は半日前までに連絡要。
料金/【ワークショップ】ワイルドキーホルダー1,300円(所要時間約15分)など。 ※事前の予約要。
駐車場/盛港に無料駐車場あり