今治の継獅子
今治の春のお祭りでは各地で獅子舞の奉納が行われます。
今治の継獅子(つぎじし)発祥といわれる鳥生三嶋神社に奉納される獅子舞(春の大祭)が今年は5月8日(日曜日)に行われます。今年の春の大祭の前に、昨年見に行った際の様子を紹介します。
奉納の獅子舞では、「天狗による悪魔払い」、「ひょっとこが眠る獅子を起こす」、「継獅子(四継)」「獅子の蚤取り」、「三番叟(さんばそう)」、「狐」、「継獅子(三継)」の7種の演舞が行われました。
やはり、クライマックスは人の上に人が立って行われる継獅子です。
力強い技だけでなく、最上段に子供が来ることもあって、見ていると冷や汗もでてくるスリルがあり、もっと見たいような、早く終わって欲しいような複雑な気持ちになります。無事終わると観客一同がほっと息をするのが聞こえます。
大人から子供まで日々の鍛錬と息を合わせた動きを必要とする継獅子を見ていると、地域で支え伝承されるお祭りの素晴らしさを強く感じます。
獅子舞の奉納の後には、餅巻きと奴行列、宮出しが行われ獅子も神社から出て行き、交差点で三番叟や継獅子を披露してくれました。足の弱ったおばあさんが座って見ているすぐ横まで来て餅巻きをしてくれるのを見て、地域に根ざした祭に心が温まりました。
三嶋神社境内の昭和四十九年に建てられた「獅子舞発祥ノ地」の碑文では
「創始者高山重吉氏は弘化元年鳥生村に生る明治初期当村民の要望により上方に赴き祭礼に奉納する獅子舞の演技を習得し勇壮なる太鼓と共にその技を究め弟子達に依て各地に指導され祭礼に奉納是が当地方に傳る鳥生獅子と云れ氏が開祖にして当所が発祥の地なり崇高なる郷土芸能として名声高く氏の偉業を讃へその功績を顕彰し永く後世に傳う」
とあります。
三嶋神社には、鳥生獅子連の練習場がありお祭りの一ヶ月前ぐらいからお囃子の音と練習のかけ声が聞かれるようになり、横を通るたびに境内の看板に出ているお祭りの日程を確認し楽しみになってきます。
鳥生三嶋神社をルーツとする今治地域の継獅子は、他の地区へと広がり、四継、五継と高くなっていったり舟の上での継獅子など、様々な特徴を持ったものになっています。
今年は、また別の継獅子も見てみたいと思います。
なお、三嶋神社には駐車場がありませんのでご注意願います。
継獅子が行われる各地の春祭りの日程は「今治市の継獅子マップ」 で確認できます。