
ウミホタルの鑑賞会は、6月から9月まで宿泊者を対象に開催。潮の満ち引きに関係する特定の日には、波静かな中新田の入り江で自然に光るウミホタルを見ることができ、砂浜を歩いた後ろから青い光が生まれる。
粟島にやって来たのには目的があった。ウミホタルをこの目で見たかったのだ。ウミホタルはごま粒ほどの小さな甲殻類。夜行性で、海底付近を遊泳し、刺激を受けると口から発光物質を出して、海中の酸素と反応して青く光る。瀬戸内海にはたくさんいるが、自然の状態では水深があるためなかなかその光を目にできないのだ。
しかし夏の間、ル・ポール粟島では、「ウミホタルの美しさと素晴らしい自然環境を知ってほしい」と鑑賞会を行っている。仕掛けを使って捕獲し、リリースする時に生まれる光を楽しむのだ。
暗闇に包まれるといよいよショーの始まりだ。波打ち際にウミホタルが放たれ、いっせいに青い光がきらめいた。なんという幻想的な光景。しばらく光り、ゆらゆらと波間に漂い、余韻を残しながら消えていく。波静かで、きれいな砂地のあるところでなければウミホタルは生育できない。そんな環境の話も聞いて、このきれいな海を大切にしたいと思った。
粟島はただ訪れるだけでは何もない島だという。けれど島の人と語らえば、この季節、この時間に見られる極上の場所を教えてもらえる。粟島港周辺の散策なら徒歩で十分だが、砂洲でつながる中新田を通り東部の上新田まで足を伸ばすなら、自転車のレンタルや、グリーン・スロー・モビリティの利用がおすすめだ。アップダウンがあるが、木々の間やカーブの先に広がる何気ない景色にはっとさせられる。馬城八幡神社(まきはちまんじんじゃ)の海辺に立つ鳥居、草木が覆い茂る秘密のトンネル、石積みの堤防など、どれもフォトジェニック。砂浜ではさくら貝やシーグラスを拾いながら水遊びをしたり、波音に耳を傾けたり、スローなひとときを過ごせる。
梵音寺(ぼんのんじ)のタブの木は、夕暮れ時に西日が差して神々しい。夕日を眺めるなら、西浜が絶好のロケーションだ。他にも、島のあちらこちらに点在するかわいいブイアートや、アーティストたちの作品に出会える。知れば知るほど好きになる粟島。また季節を変えて訪れたくなる。
粟島海洋記念公園内にある宿泊施設。夏はログキャビンもおすすめ。レストランでは旬の食材を用いた料理が提供され、ランチは宿泊者以外も利用できる。
江戸時代には北前船の寄港地として栄え、明治30年(1897年)に日本で最初の海員養成学校が設立された船乗りの島として歴史がある。粟島の形が、船のスクリューになっているのも面白い。
直行便(所要時間約15分)
須田港発(粟島港着)
6:20/7:25/9:10/10:45/12:40/15:10/18:00/19:05
粟島港発(須田港着)
6:45/7:50/9:35/11:15/14:30/17:15/18:25/19:30
※志々島経由便はお問い合わせください。
TEL/0875-83-3204(粟島汽船)
料金/330円(粟島港―須田港)