
高さ9.8mのかわいい洋式灯台。海水面からは29mあり、11海里(約20km)先まで灯火が届く。
与島島内へは、パーキングエリアに車を停め、歩いて行くことができる。展望広場の遊歩道の奥の細い道から瀬戸大橋をくぐるルートがわかりやすい。迷路のような道を進み、集落を静かに抜けていく。
突如、目の前が開けた。真っ青な海と空を貫いて瀬戸大橋が伸びている。なんて壮大な眺めだ。島の南端まで来ると、真ん丸い島の頂上に白い石造りの鍋島灯台が見えた。「日本の灯台の父」と呼ばれるリチャード・ヘンリー・ブラントンの設計で、明治5年(1872年)に初点灯し、今も船の安全を見守り続けている。通常は年一度の公開だが、当面の間、敷地が開放され、間近に見られるのが嬉しい。鍋島灯台と360度の多島海、瀬戸大橋が織りなす絶景に息を呑んだ。
瀬戸内海(海上保安庁第六管区管内)で最も古く、国内でも7番目に古い灯台で、「近代化産業遺産群」に認定されている。周辺海域は島や岩礁が多く、潮の流れが複雑で夜間航行が困難なため、建設当時は夜間航行をする船が最寄りの停泊地に留まるための目印として使用された。通常の一般公開は、灯台の日(11月1日)前後に行われている。