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せとうち美術館紀行 第12回 呉市海事歴史科学館(大和ミュージアム)

戦艦大和を建造した呉の歴史に日本の近代化と未来を見る

呉市海事歴史科学館(大和ミュージアム)に関しての対談5

集客効果を呉市全体で生かせるようにミュージアムとしてサポート

井上:
大和ミュージアムの集客効果は、呉市の他の文化施設にもうまく流れていますか。

館長:
そこが難しいところです。
今一番問題になっているのは、ミュージアムに来てとんぼ返りをしてしまうお客様が多いことです。たくさん人は来るのですが、このあたりは宿泊の受け皿が大きくないんですよ。ですから広島に泊まって当館に来る人が多い。宿泊するのとしないのでは地域に落ちるお金が全然違います。町としてはもっと滞在時間を伸ばしてもらいたい、願わくばもっと泊まる人を増やしたいと思っているのですが、宿泊施設を増やすにはそれなりの投資が必要なのでおいそれとできません。商店街の人とは時々話しをするんですよ。私の仕事は大和ミュージアムをしっかり管理すること。訪れた人をどうするか、目の前を通り過ぎているお客様をどうやって商店にきてもらうかはみなさんの仕事ですと。

図書館イメージ

以前はメインの商店街は駅の向こう側でした。今もそうですが。それが現在は海側も増えて、人の流れが変わったので町全体としてはもう少し考えないといけません。当館でも、倉庫に入れたままの資料などがかなりあり、現在の展示スペースでは出し切れていない情報や展示がたくさんあります。可能ならば、拡張するなり、分館をつくるなりしようかという意向があります。その際には呉市全体としての流れや人の流れを活発化するためのスペース、場所、ポイントを考えて新しいアピールポイントをつくっていきたいと考えています。呉市も地域振興のためにぜひ必要なのでやりたいということで、少しずつ話が進んでいます。

それとともに館内のライブラリーの方をもっと充実させたいと思っています。展示というのはスペースに限りがあって、紹介できるのは歴史の中のほんの一部です。文献のほうがたくさん情報を伝えられますから。

PCコーナー イメージ

井上:
楽しみですね。開館してまだ10年ですから。

館長:
そうです。博物館で10年というとまだ発展途上、博物館が落ち着くのは50年ぐらいだと思っています。

井上:
50年ですか(笑)。
開設準備の頃からずっと館長が長く勤めていらっしゃるという例もけっこう珍しいのではないですか。

館長:
そうですね。オープン前から資料アドバイザーを務め、そのまま館長になるというのは珍しいかもしれません。

井上:
今日は本当に貴重な話をありがとうございました。

 

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