耐震設計
長大橋の大型下部工に適用する耐震設計基準を策定
基礎の巨大化に伴い設計地震動・設計手法の研究を実験等を交えて実施し、専門家の意見等を集約して新しい概念を導入した耐震設計基準を作成しました。
明石海峡大橋では、さらに巨大化した基礎と未固結の地盤の揺れ方を考えた耐震設計法を開発し、長大橋基礎の合理的で経済的な設計を実現しました。
その結果、多くの建物や橋などの構造物に被害を生じさせた1995年1月の兵庫県南部地震においても橋本体には損傷は発生しませんでした。
岩盤評価
本州四国連絡橋の着工以前には、長大橋の巨大基礎を支持する軟岩の調査・評価方法が確立されていませんでした。本州四国連絡橋の建設にあたって、様々な実験や調査で得られた知見と、専門家の意見を集約し、軟岩の調査・評価方法と基礎の設計手法を確立しました。これらの手法は、大型基礎構造物の合理的で経済的な設計を実現させ、原子力発電所等の重要構造物の設計にも応用されています。
耐風設計
風速80m/秒の風にも耐えられる三次元性を考慮した長大吊橋の耐風設計基準を策定
台風が常襲する日本では、強い風に対して安全である必要があるため、多くの風洞試験を行い、耐風安全性を検証する風洞試験技術を確立しました。
また、長期間にわたる自然風の観測を実施し、その分析結果と合わせて耐風設計基準を作成しました。長大橋の耐風設計を可能にするとともに、種々の振動防止技術を開発しました。
さらに全長40mにおよぶ全橋模型による風洞試験が実施可能な大型風洞実験施設を建設し、2,000m級の吊橋の高精度な耐風性の検証と経済的な設計を可能にしました。
その結果、明石海峡大橋では80m/秒の風に耐えられることを確認しました。
構造設計
長大橋の合理的建設が可能になる設計基準を策定
支間長200m以下の橋を対象にした技術基準(道路橋示方書)では、長大化に伴い不合理な設計となります。このため、試験・解析手法の開発、交通実態調査等により長大橋設計に用いる荷重体系・安全率等の構造設計基準を作成しました。
また、吊橋や斜張橋の長大化に伴い、構造設計手法を実験などを実施して研究・開発しました。これらの設計基準は国内外の長大橋の設計にも利用されています。
疲労設計
疲労破壊に敏感な高張力鋼の疲労設計法を策定
長大橋の軽量化には、高張力鋼の採用が不可欠ですが、疲労破壊に敏感な欠点があります。
この問題を解決するために、大型疲労試験機を製作し、実験・研究を重ね、専門家の意見等も参考にして、高張力鋼を使用した構造物の疲労設計のための基準を作成し、この分野の基礎を確立しました。
鋼・PC桁複合構造の開発
適材適所の合理性で、斜張橋の長大化を促進
斜張橋では重く、堅固なコンクリート桁を側径間に採用し、中央径間を軽い鋼桁にすれば短い側径間で、安定した中央径間にすることができますが、剛性の大きく異なる鋼とコンクリートの接合部では、円滑に力を伝達することが構造・強度上極めて重要であり、かつ難しい問題でした。
そこで、鋼とコンクリートの接合構造について実物大の破壊試験を含む構造検討を行い、接合部構造設計手法を開発し、生口橋や世界最大級の斜張橋である多々羅大橋に応用しています。
道路・鉄道併用橋の設計技術の開発
列車の走行安全性の確保
長大橋はたわみやすく振動しやすいため、端部の伸縮量が非常に大きく、列車の走行性の確保、列車が橋梁に与える影響の評価及び部材の疲労設計が課題でした。
そこで、連続吊橋形式を採用して衝撃係数等の設計基準を制定するとともに、疲労設計を検証しました。
また、橋梁端部の伸縮及び角折れに対応するため、緩衝桁軌道伸縮装置等を開発し実用化しました。
鋼床版開発
道路床版の軽量化と信頼性・施工性を向上させた鋼床版構造を開発
鋼床版は、長大橋の軽量化には有効ですが、舗装の耐久性、構造の信頼性、現場での施工性などに問題がありました。
舗装と床版構造の両面から、実橋での供用性の調査・試験をはじめとする各種調査・試験を行い、当時の最新の知見を取り入れて、鋼床版構造と橋面舗装の技術基準を作成しました。
これらの基準は、国内の鋼床版構造と橋面舗装の技術基準に広く採用され、鋼橋の普及・長大化に役立てられています。