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せとうち美術館紀行 第14回 横尾忠則現代美術館

あふれるエネルギーに圧倒される、横尾忠則芸術の殿堂

横尾忠則現代美術館に関しての対談3

来館者の裾野を広げる活動を展開、
若者からインスタ映えする美術館として人気に

山木:
この美術館は横尾忠則さんを食わず嫌いではなく、一度自分の目で見てほしいと先ほど田中さんがおっしゃっていました。一般の人たちに対して具体的にどういうふうな働きかけやPRをなさっているのでしょうか。

山本:
意図して特別なことをしたわけではないのですが、インスタ映えする美術館として非常に人気があるようです。若い方は上から下まで横尾ルックの方もおられたり、バシッとおめかししてデートに来て、写真を自撮りしてInstagramにあげるということが最近は多いようです。

オリジナルグッズ

山木:
この美術館のオリジナルグッズがあるのですか。

館長:
いっぱいあります。

山本:
オリジナルグッズはどれも見れば楽しめるものばかりです。横尾さんの息子さんが、お父様の作品をグッズにする開発の仕事をされているんです。その現物を手に取って見ることができるのがここのショップです。

館長:
テレビでタレントの方も横尾さんのグッズをおそらくここで買って着ているんですね。ここにしかなく、着ている人が少ないだけに、タレントの方はかえって好きなのかもしれません。

ぱんだかふぇ

山木:
期せずしてPR効果が出ているということですね。

山本:
隣にある「ぱんだかふぇ」では横尾さんのお皿やカップで食事ができます。ご飯を食べると下からドクロが出てきたり(笑)。そういうのもよく写真に撮られています。

山木:
それもいいですね。

山本:
後はアーカイブルームの横にちょっとした通路があるんですが、そこがJR加古川線のラッピング電車のデザインをそのまま流用しています。床や壁に目玉がいっぱい描かれ、「目玉廊下」という愛称で呼ばれて、みなさん記念写真を撮られていますね。

目玉廊下

山木:
それは横尾さんの出生地である兵庫県西脇市のJR加古川線と関連付けているということですか。

山本:
そうです。田園風景の中を極彩色の目玉だらけのラッピング電車がJR加古川駅から西脇駅間を走り続けるのですから、賛否両論もあったようです(笑)。

田中:
今はもう走っていないですけれど。

山木:
実際に走っていたんですね。JR西日本は粋なことをしますね(笑)。

 

横尾さんが声をかけ、有名人がライブ、対談などを開催

田中:
できるだけたくさんの方に来ていただきたいということでは1階のスペースを利用し、オープンスタジオという形でいろいろコンサートなどをやっています。

館長:
横尾さんと関係のある有名人の方が来られてすごいですよ。

対談の様子

田中:
横尾さんがちょっと声をかけてくださって、玉置浩二さんや加橋かつみさん(「ザ・タイガース」の元メンバー)が来てくださいました。

館長:
普通なら何千人と集まる人たちなんですが、たまたま関西方面に来るタイミングに横尾さんが声をかけてくださるんです。

田中:
加橋さんを目当てに来られた人が、そこで横尾さんの作品に触れてくれたらいいなと思います。

山木:
本当にそうですね。別にチケットが必要になるんですか。

山本:
開館時間中に開催するときは無料です。1階スペースは無料ゾーンですので。ただし、たとえば無料で玉置浩二さんのライブをやるとパニックになりますので、その場合は夜間開催で予約制にして、いったん美術館を閉めて抽選に当選した方だけ格安の有料で入っていただけるような形にしています。当館のイベントのラインナップはものすごく豪華です。細野晴臣さんや瀬戸内寂聴さんも来られました。

山木:
瀬戸内寂聴さんは何をなさったんですか。

田中:
横尾さんとの対談です。

山本:
瀬戸内さんが来られたときはパニック寸前でした。ガラスが割れるんじゃないかというぐらいの人の勢いでしたね。

対談の様子

館長:
若い女性が多いのでびっくりしました。

山木:
瀬戸内寂聴さんは若い女性に支持を受けていますね。横尾さんと瀬戸内さんは気脈が通じるところがあると思います。二人はいつも自然体で、何でもあからさまに話してしまう性格がフランクに感じられる芸術家ですから、とても通じ合えるんじゃないかなと思います。

館長:
一緒にインドに行っているんですよね。その話がよく話題になります。

山本:
横尾さんに小説を書くように勧めたのは瀬戸内さんらしいです。

山木:
そうなんですか。

 

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