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長大橋の保全技術(下部工関係)

コンクリート構造物の長寿命化

本州四国連絡橋の海峡部及びその近接区間にあるコンクリート構造物は、海からの飛来塩分が多いなど厳しい環境にあります。また、これらの構造物は長期の耐久性を確保する必要があるものの、海上交通を確保するために高橋脚となり、構造物への接近が困難なことが多く、補修時には足場の設置等に多くの費用を要することになります。

このような条件下にあるコンクリート構造物の維持管理には、通常行われる調査よりも精度の高い調査を行い、適切な補修方法を選定することが必要となります。

本州四国連絡橋のコンクリート構造物の一部には、長寿命化および美観を目的としてPCパネルやコンクリート塗装が施されています。

しかし、これらの保護が施されていないコンクリート構造物についても、構造物の健全度及び劣化・損傷の程度を系統的・定量的に把握し、適切に維持管理を行うことにより、経済的に長寿命化を図る方法を確立する必要があります。

そこで、現在、コンクリートコアを採取し、塩害、中性化、ひび割れ、鉄筋腐食等についてコンクリートの劣化状況を調査し、その結果を基に劣化予測・健全度評価を行い、補修が必要かどうかを判断することとしています。


【コンクリート塗装による塩害対策】


【コンクリート中性化深さ測定】

海中基礎の防食対策

本州四国連絡橋の海中基礎の建設においては、外壁を有する筒状の鋼構造物(鋼ケーソンと言います)を用い、海底に沈めた後、その内部にコンクリートを打設する設置ケーソン工法が多く採用されています。

完成後約11年が経過した海中基礎において、鋼ケーソンの外壁(スキンプレートと言います)の調査を行った結果、局部的に進行する孔食と呼ばれる腐食が発見されました。

この対策として、海水中に微弱電流を流すことにより、海水中に存在するカルシウムイオンやマグネシウムイオン等の陽イオンを鋼ケーソン表面に誘導し、炭酸カルシウムや水酸化マグネシウム等を主成分とする物質を付着させて被膜を形成する電着防食工法を開発し、採用しています。

特に腐食環境の厳しい飛沫・干満帯部では、ドライボックスを用いた気中作業により、塗装による防食を行っています。

また、多々羅大橋、来島海峡大橋では、建設当初より、鋼ケーソン表面に塗装するとともにアルミニウム陽極を付け、犠牲防食作用により防食を行っています。


【スキンプレートの孔食の様子】


【電着防食法(瀬戸大橋)】


【ドライボックスによる飛沫・干満帯部の塗装】


【予めアルミニウム陽極を取付けた鋼ケーソン】

大鳴門橋多柱基礎の防食対策

うず潮で名高い鳴門海峡にある大鳴門橋の塔基礎は、潮流を阻害しないよう、多柱基礎を採用しています。多柱基礎は、鋼管と内部の鉄筋コンクリートで構成されており、鋼管を腐食から守るための防食工事を行っています。

防食方法は、場所ごとに適切な方法を採用しており、飛沫帯部は水中施行型エポキシ樹脂+塗装、干満帯部はペトロラタム(石油ワックスの一種)及びそれを保護する耐食性に優れたチタンカバー、海中部は電気防食を採用しています。


【施工前】


【施工後】