とびしま海道の『自転車乗りの聖地』?
今から100年以上前、明治時代に自転車で日本人初の世界一周冒険旅行をした中村春吉という人物がいたことを知っていますか?
大三島の近くにあり、しまなみ海道とならんでサイクリストに人気の、とびしま海道にある『自転車乗りの聖地』と呼んでみたい場所への旅行を紹介します。
とびしま海道は、しまなみ海道と同じく広島県と愛媛県の島々を結ぶ道で、海に架かる橋は7つあり自転車や歩行者も渡ることができます。しまなみ海道から立ち寄るには、今治港や大三島の宗方港から岡村島へのフェリーや高速船が出ていて、船で行くことができます。
今治港から乗ったフェリーは来島海峡大橋の下をくぐり、岡村島に向かいます。
60分~80分の船旅ですが、海からの景色を眺めているとすぐについてしまいます。
目的の大崎下島の御手洗地区は、フェリーの着いた岡村島から中ノ島、平羅島を経由して約8kmです。岡村島と中ノ島の間の戸町瀬戸にかかる岡村大橋の途中に、愛媛と広島の県境があります。
御手洗地区は、江戸時代以降、潮待ち、風待ちの港町として賑わった歴史があり、江戸後期から昭和初期の建物が多く残り、重要伝統的建造物群保存地区となっているところです。
御手洗地区は、自転車無銭旅行で世界一周をした明治のバンカラ快人中村春吉が生まれ、晩年を過ごした土地です。サイクリストに人気のあるとびしま海道に、自転車にゆかりのある明治時代の快人物がいたということがおもしろく思えました。ここを個人的にとびしま海道の『自転車乗りの聖地』と呼びたいと思います。
町の奥の方にある天満神社に、中村春吉を記念する石碑が2つあります。石碑は2つ並んでいて、左側の碑は昭和27年に建てられたもの、右側のものは平成23年に建てられたもので、肖像写真も彫り込まれています。世代を超えて何度も記念碑を設けられているのをみても、長きに渡り愛されている人物です。
近くにある待合茶屋の若胡子屋跡(わかえびすやあと)には、中村春吉の伝説や御手洗地区の歴史についての資料が展示されていました。
当時の風情を残す町並みと合わせて、明治の快人の偉業を忍ぶことでより感慨が深まります。
中村春吉の自転車世界一周旅行の様子は、横田順彌著『わがはいは中村春吉である。』(http://shop.kumonshuppan.com/shopdetail/004001000124/)や国立図書館近代デジタルライブラリーの押川春浪編『中村春吉自転車世界無銭旅行』(http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/887000/1)などで読むことができます。
この旅行は自動車で行ったのですが、大崎下島にはみかんに関する逸話もたくさんあるので、次はみかんがいっぱい実る季節に自転車で行ってみたいと思っています。
また、大崎下島はアニメーション映画「ももへの手紙」のモデルにもなっています。映画のシーンを想像してのロケ地巡りも楽しそうです。
しまなみ海道からは今治港からのフェリー第二せきぜん、大三島からのフェリーみしまの利用になりますが、フェリーの便数が限られているので十分に計画を立てて行きましょう。
今治市関前諸島のWebページ ( http://sekizenweb.com/access/ )
また、フェリーの他に高速船もありますが、高速船では自転車を載せるときに輪行バッグ等に入れて手荷物にする必要があります。
とびしま海道の中村春吉の石碑は、個人的に『自転車乗りの聖地』と呼んでいる場所ですが、しまなみ海道の大三島にある多々羅しまなみ公園には、その名前もずばり『サイクリストの聖地』のモニュメントが設置されています。
しまなみ海道の海上の橋には自転車歩行者道が設置されていて、海の上からの景色を眺めながら走ることができサイクリストにも人気です。とびしま海道、しまなみ海道、どちらも気持ちよくサイクリングできるおすすめの場所です。本サイトでは、もう一つのゆめしま海道と併せて、瀬戸内三海道(http://www.jb-honshi.co.jp/shimanami/about/sankaidou/index.html)として紹介しています。