海中コンクリート

設置されたケーソンの内部は海水で満たされています。この中にコンクリートを充填する方法として、瀬戸大橋では、「プレパックドコンクリート工法」が用いられました。これは、あらかじめ採石(粗骨材)をケーソン内に投入し、その後、骨材の空隙にある海水をセメント・砂・水の混合物であるモルタルにより置換する工法です。

写真:粗骨材充てん

粗骨材充てん

粗骨材の大きさは、あらかじめ行った実験等の結果により、通常のコンクリートに用いられるものよりも大きめの、直径80-150mmとしました。大量の粗骨材は、岡山側の採石場で生産され、水島に設けた専用の供給基地において洗浄・ふるい分けを行った後、工程に合わせて各基礎に供給されました。

写真:モルタルプラント船「世紀」

モルタルプラント船「世紀」

粗骨材の空隙へのモルタル注入では、安定した品質のモルタルを高速かつ大量に製造する必要がありました。このため、大型のモルタルプラント船「世紀」が開発・製造されました。世紀は、1日当たり最大で5,800m³のモルタルを製造する能力があり、長さ90m、幅32m、深さ7.5m、吃水(きっすい)4.5mの船体上に材料貯蔵設備、プラント、注入ポンプ、濁水処理設備、居住区などを搭載しました。

写真:モルタル注入

モルタル注入

モルタル注入は、注入する区画に配置した注入管にモルタルを圧送することで行われます。モルタルの上昇に応じて、写真中央に見える赤い注入管引き上げ装置で注入管を引き上げ、モルタルの品質と流動性を確保しました。注入は、一旦、開始すれば中断することはできないことから、3昼夜にわたる作業となりました。

写真:モルタル注入(粗骨材上面まで上昇したモルタル)

モルタル注入(粗骨材上面まで上昇したモルタル)

モルタル注入の最終段階における注入管(メッシュの管は注入外管でその内側に注入管があります)周辺の状況。粗骨材の上面までモルタルが上昇してきています。