補剛桁の架設

桁は自動車の車道、鉄道の軌道を支える部分です。吊橋では、強風時における桁の安定性(耐風安定性)を確保するために、桁をトラス構造として剛性を高めることが多いことから、補剛桁と呼んでいます。瀬戸大橋の吊橋の補剛桁は、下図のような構造となっており、道路、鉄道に加え、電力・通信ケーブルが添架されています。また、維持管理のための作業車用のレールも添架されています。補剛桁の架設工事は、吊橋工事のハイライトです。

写真:工場での仮組立

工場での仮組立

補剛桁の製作精度の良否は、現地における架設精度を左右することから、製作工場において、全量の立体仮組立を行い、精度確認を行いました。仮組立が終わると、塗装が施され、現場の架設工程に合わせて、出荷されます。

写真:塔付きブロックの一括架設

塔付きブロックの一括架設

補剛桁工事では、クレーンなどの架設機材のスペースを早期に橋上に確保することが工程上、重要です。このため、南備讃瀬戸大橋では、塔付近の補剛桁4パネル分約1,500tを工場で組立てた後、クレーン船で架設を行いました。これにより、後に続く補剛桁のサイクル架設にスムーズにつながりました。

写真:サイクル架設

サイクル架設

サイクル架設では、塔付近に海上輸送された2パネル単位の補剛桁各部材を桁の位置まで吊り上げ、これを運搬台車により前方へ送り、先端に位置するクレーンで架設を行う作業を繰り返します。

写真:架設が進む北備讃瀬戸大橋

架設が進む北備讃瀬戸大橋

補剛桁の架設工事においては、架設の進捗に伴い、ケーブルの形状が大きく変化し、それに応じた作業が求められます。このため、正確な形状測量とともに、両側の進捗状況のバランスをとりつつ架設が進められました。写真は、北備讃瀬戸大橋の状況です。

写真:閉合パネルの架設

閉合パネルの架設

架設開始からおよそ1年、塔から伸びてきた桁が中央で連結されます。最終の閉合パネルの架設に先立ち、両方の塔の付近にジャッキをセットし、これで架設済みの補剛桁を塔側に引き寄せることにより、閉合部を広げ、架設作業を容易にしました。架設完了後、ジャッキを解放しました。

補剛桁説明図