多々羅大橋

多々羅大橋 1999年5月供用

多々羅大橋
形式 3径間連続複合箱桁斜張橋
橋長 1,480m
支間割 270+890+320=1,480m
塔高 226m(TP0mから)
桁下高 40m(略最高高潮面より)
上部工鋼重 約37,500t
上部工コンクリート量 約9,000m³
下部工コンクリート量 約76,000m³
下部工鋼重 約1,000t

多々羅大橋は中央支間長890mで完成時・世界最長の斜張橋です。当初は吊橋で計画されましたが、斜張橋の技術の進歩を背景に、自然環境の保全や経済性などを考えて変更しました。強度的な安全性、信頼性、耐風性などについては多くの実験や解析などを実施し確認しました。一方、塔、桁、橋脚などの形をはじめとして様々な景観上の検討を行い、洗練された美しさも追求しました。当時、世界第二位の斜張橋であるフランスのノルマンディー橋(中央支間長856m)と姉妹橋縁組みをしています。

大型風洞試験で、合理的に耐風安定性を検証

大型風洞試験

多々羅大橋は、完成時点で世界最長の斜張橋となった生口橋(中央支間長490m)が建設されている頃に、当初計画されていた吊橋から中央支間長890mの斜張橋に変更されました。これには生口橋で培われた長大斜張橋の建設技術が大きく貢献しています。

技術の進歩が著しい斜張橋とはいえ、世界最長の斜張橋を実現するためには、克服すべき技術的課題も多く、各種実験や解析を行い安全性や信頼性を確認しました。

耐風安定性の検証には構造特性を忠実に反映できるように大型全橋模型(縮尺1/70)を使った風洞試験のほか、地形の影響を確認するため周辺地形も含めた模型(縮尺1/200)を使った風洞試験も実施しました。

断面や表面形状の工夫で合理的な耐風安定化対策

インデントケーブル

長大吊橋や斜張橋の桁あるいは塔は、架設時はもとより完成時にも風によって様々な振動が生じやすいものです。多々羅大橋では、それらの断面形状を工夫することによって、空力的安定を図ることに成功しました。このことによって、特別な設備を設けることなく維持管理対象もほとんど増やすことなく、耐風安定性を確保した橋梁が建設できました。

多々羅大橋のケーブル振動対策には、ケーブル表面に離散的な凹型加工を施したインデントケーブルを採用。降雨時に風でケーブルが大きく震動するレインバイブレーションの発生を抑えました。

環境保全と自然景観との調和を重視

多々羅大橋と観音山

多々羅大橋では、橋梁形式を当初の吊橋から斜張橋に変更したことで、アンカレイジ設置に伴う生口島側の観音山の大規模な地形改変を避けることができました。このことが、橋梁形式選定の一つの理由にもなっています。

多々羅大橋 写真ギャラリー

橋梁一般図

多々羅大橋橋梁一般図多々羅大橋橋梁一般図