土木遺産(レトロな橋)屋根付き橋 -内子・田丸橋と河辺浪漫八橋-

屋根付き橋は屋根をかけた橋のことで、橋の主部材として使われている木材の腐食を遅くするために屋根をかけています。木の橋の寿命は20年程度といわれていますが、屋根をかけることにより数倍長持ちさせることができます。

屋根付き橋は世界各地にあり、スイス・ルツェルンのカペル橋(1993年に火災で橋の大半が焼けましたが、すぐ再建された)や、アメリカのローズマン橋(映画「マディソン郡の橋」の舞台になった)などが有名です。日本では、金刀比羅宮の鞘橋や京都・東福寺の三橋(臥雲橋、堰月橋、通天橋)のように、主に神社・仏閣にあります。

愛媛県の内子町と大洲市河辺には、古くからの生活橋として屋根付き橋がまとまってあります。これらの橋は、単純桁、連続桁、π型(桁を両側から斜材で支える形)など様々な形をしており、また、神社に関連した橋と生活橋では差別化が図られています。近年、両地区では観光用に作られた屋根付き橋もありますが、古くからの橋は風情を感じます。

内子町 -田丸橋と弓削神社の橋-

古くからある橋は、「田丸橋」(1943年)と「弓削神社の橋」(1955年頃?、弓削神社は1396年創建)です。

田丸橋は、洪水で流出したものを1943年に地元住民が再建したもので、屋根は杉皮葺き、橋長15m、幅2mで、生活道と倉庫を兼ねていました。当時の暮らしぶりを伝える板絵が数枚、屋根裏に飾ってあります。田丸橋は、内子町の有形民俗文化財に指定されているほか、愛媛県の屋根付き生活橋を代表的する存在として2002年に土木学会推奨土木遺産に認定されました。また、NHKドラマ「坂の上の雲」のロケ地にもなりました。

弓削神社の橋(橋長22m)は、田丸橋から少し離れた山奥にあります。神社への入口に架かるためだと思われますが、4径間で太鼓状の桁橋になっています。

内子町では、平成以降、下宮橋(1994年)、鳥居元橋、常盤橋(2004年)、清水川橋(2004年)が屋根付き橋として整備されています。

これらの橋については瀬戸マーレVol23でも紹介されています。

田丸橋
田丸橋
田丸橋
弓削神社の橋
弓削神社の橋
弓削神社の橋

大洲市河辺 -浪漫八橋-

大洲市河辺は、坂本龍馬の脱藩の道にあたります。ここには、屋根付き橋が新旧あわせて八橋あり、「浪漫八橋」としてPRされています。

最も古い橋は、「御幸の橋」(1773年創建、現橋は1886年(M19)に再建。橋長8.3m)です。この橋は太鼓状になっており、桁に庇がついています。また、杉皮押さえの釘以外、金具類は使用されていないなどの特徴があり、愛媛県指定文化財となっています。

このほか、古くからある橋は、「三嶋橋」(1923年、橋長14.8m)、「豊年橋」(1951年)、「帯江橋」(1952年、橋長16.5m)です。3橋とも屋根はトタンで葺き替えられています。屋根の形は切妻が一般的ですが、三嶋橋は三嶋神社の参道にあたるためか入母屋の凝った作りになっており、また桁に庇がついています。以上の4橋が既に60年を超えています。

河辺地区では、平成以降、観光用として「龍神橋」(1990年)、「ふれあい橋」(1992年)、「龍王橋」(1997年)、「秋滝橋」(1997年)が整備されました。

河辺へのアクセスは、大洲市内から(約34km、約60分)と少し離れています。浪漫八橋はまとまって位置しているため比較的わかりやすいですが、龍神橋だけ少し離れた所にあります。

浪漫八橋の案内板
浪漫八橋の案内板
御幸の橋
御幸の橋
御幸の橋
御幸の橋
御幸の橋
御幸の橋
三嶋橋
三嶋橋
豊年橋
豊年橋
帯江橋
帯江橋
龍神橋
龍神橋
ふれあい橋
ふれあい橋
龍王橋
龍王橋
秋滝橋
秋滝橋