土木遺産(レトロな橋)長浜大橋 -現存最古の道路開閉橋-

長浜大橋は、「肱川おろし」で有名な大洲市長浜の肱川河口にあり、1935年に完成しました。「赤橋」の愛称で親しまれるこの橋は、橋長232.3m、幅員5.5mで、橋梁形式は、3連ワーレントラス桁+2連鋼桁+2連ワーレントラス桁となっています。橋の中央にある鋼桁の一つ(長さ約18m)が天秤式に開閉する跳開式(バスキュール式)の可動橋で、日本では現存最古の道路開閉橋です。設計者は各地で名橋を設計したといわれる増田淳橋梁事務所です。この橋は戦時中にグラマンによる機銃掃射を受けたため、トラス桁に傷跡があり現在も残されています。

長浜大橋は、2012〜2013年度に肱川の築堤事業に併せて、橋長の継ぎ足し(226mから232.3m)と、橋の嵩上げが行われました。2014年12月に国指定重要文化財に登録されています。

長浜大橋の開閉は、観光用と定期点検をかねて、毎週日曜日の13時に実施されていますが、荒天時は中止される場合があります。

大洲市の長浜大橋紹介ページ

写真は2015年2月8日に撮影したものですが、管理人さんにお話を伺ったところ、「本日は強風のため、いつもより橋桁を上げる角度を抑えた」とのことでした。

なお、1977(S52)年に下流側に新長浜大橋が完成しています。

増田淳

増田淳(1883-1947)は、1907年東大土木工学科を卒業後、橋梁研究のため1908年にアメリカに行き、いくつかの有力な橋梁事務所に14年間勤務し、帰国後に事務所を開設しました。

事務所時代に、20年間で様々な形式の橋を約80橋設計したと言われます。増田が設計した代表的な橋梁は、長浜大橋以外では、荒川橋(東京)、白鬚橋(東京)、伊勢大橋(三重)、十三大橋(大阪)、武庫大橋(兵庫)、吉野川橋(徳島)、美々卯橋(宮崎)などです。

長浜大橋 全景
全景
長浜大橋 門柱
門柱
長浜大橋 最大開閉状況
最大開閉状況
長浜大橋 車幅制限ポール
車一台しか通れないよう車幅制限ポールが2箇所設置
自転車用ブルーラインもあり
長浜大橋 開閉操作室
右の白箱が開閉操作室
長浜大橋 グラマン機による機銃掃射の跡
グラマン機による機銃掃射の跡

橋へのアクセス

橋へのアクセスは、今治・松山方面からの場合、松山道の伊予IC下車後に国道378号で約28km(41分です)。

長浜大橋の見学前に、「海に最も近い駅」として知られるJR予讃線「下灘駅」を見に行ったところ、ちょうどJR四国の観光列車「伊予灘ものがたり」が入ってきました。

JR下灘駅に停車中の「伊予灘ものがたり」
JR下灘駅に停車中の「伊予灘ものがたり」
左側に伊予灘が見えます
「伊予灘ものがたり」の内部
「伊予灘ものがたり」の内部