建物・町並みしまなみ海道沿線の建築
2回目は、しまなみ海道の島々の中で、大島、大三島、因島にある隈研吾、伊東豊雄、W.M.ヴォーリズらによる有名な建築を取り上げます。
大島の「亀老山展望台」(隈研吾)
隈研吾(1954年〜)は、歌舞伎座と歌舞伎座タワーの複合施設(GINZA KABUKIZA)など、国内外の建築を手がけられるとともに、現在は東京大学建築学科教授として活躍されています。
亀老山展望台は隈氏により1994年に完成した建築で、大島の南端・標高308mに位置し、展望デッキからは来島海峡大橋が一望でき、また360度のパノラマで芸予諸島の多島美を眺めることが出来ます。この展望台は自然環境に配慮して、地形の中に構造物を隠しており、両サイドにある展望デッキはブリッジで接続されています。
アクセスは、大島南ICから車で15分程度です。展望台への道は曲がりくねった山道ですが、頂上付近は眺望が開けており、写真撮影用のテラスが数カ所設置されています。
なお、本四高速・神戸淡路鳴門道の淡路SA下り線の休憩施設(1998年)は隈氏の作品です。
大三島のミュージアム(伊東豊雄)
伊東豊雄(1941年〜)は、せんだいメディアテーク(2000年)などの建築や、新しい建築教育の場として設立された「建築塾」の活動で知られ、プリツカー賞等を受賞された世界的建築家です。
2011年7月、大三島に「伊東豊雄建築ミュージアム」が開館しました。このミュージアムは、旧自邸を再現したシルバーハット(図面等収蔵&ワークショップスペース)と、新たに建てられたスティールハット(伊東氏の建築模型等を展示)の2棟の建物から構成されています。アクセスは、大三島ICから車で約25分です。
また、この近くにある「岩田健母と子のミュージアム(2011年)」も伊東氏の建築です。
大三島には、これら2つのミュージアムのほか、現代アートの「ところミュージアム大三島」、現代日本画の「今治市大三島美術館」、書道の「村上三島記念館」などがあり、お得な5館共通チケットが販売されています。
これらの建築については瀬戸マーレVOL22にも関連記事があります。
因島の「白滝山荘」(ウィリアム・メレル・ヴォーリズ)
W.M.ヴォーリズ(1880〜1964年)は、メンソレータムの普及者として有名ですが、居住していた滋賀県近江八幡市や関西地方を中心に、学校建築(関西学院や神戸女学院などのミッション系大学)・商業施設(大丸心斎橋店)・教会・住宅など多くの建築が残されています。
因島の「いんのしまペンション白滝山荘」(1931年)は、W.M.ヴォーリズにより、当初はファーナム氏の宣教師館として建てられました。戦後は、日立造船のゲストハウスとして使用されていましたが、造船不況の影響などもあり荒れていたものを、1987年に現オーナーによりペンションとして再生されました。木造一部3階建てで、国登録有形文化財となっています。アクセスは、因島北ICから車で約5分です。
W.M. ヴォーリズについては、彼の奥さんである一柳満喜子をテーマにした、玉岡かおるさんの小説「負けんとき-ヴォーリズ満喜子の種まく日々-」(新潮文庫)に紹介されています。